思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『nude』

『nude』☆☆☆★

てっきりフィクションかと思ったら、エンドロールに出た原作者名は主人公と同じ。実在のAVC女優の自伝の映画化だったようだ。
性的な乱れた不良でもない、ごく普通の田舎の女子高生が、どうしてAV女優なんかになったのか、フィクションならずとも興味が沸くところだろう。ただ、冒頭にAV撮影の現場で自伝を書くシーンから始まるので、いくら主人公が、悩んでも、観客は「そっちの道には行くな」という気持ちにはならないのが欠点。だが、自伝であるということを、製作者も観客も分かっているなら仕方ない、というか必然的な構成なのかも。
社会的には認められづらい仕事なので、自身はもちろん、親友や彼氏からも見放されるなかで、たくましく生きてゆく主人公像は、青春映画として良くできている。
ただ、主人公がそこまでして(冒頭のモノローグにある)人前でセックスをすることも辞さない、という動機が分からないのが唯一の欠点かな?
なんと言っても、本作を最後まで目が離せないのは、主人公の女優さんをすごく綺麗に撮っていること。これ、決めカットやシーンに限らず、ほぼ全カットなのが凄い。
また、グラビアからヌードグラビア、Vシネマと、AVには大きな壁があるのだが、精神的な抵抗は描かれているが、実際のAV撮影現場での戸惑いはある意味過剰に描かれているが、いざ、といあ挿入時の心の動きがほぼ省略されている。それが恐怖なのか、羞恥なのか、倫理なのか、そこが知りたい。もしかしたら原作にはあるのかな……?
親友の次に大事な関係である彼氏の存在感がほとんどない(脚本的にはある)ので見終わった時は言うまでもなく、見ている最中にも顔を覚えてない(^^;)
あと、事務所の他タレントの父親は1シーンだけ出てきたが、肝腎の、主人公の両親はどうなのか? リアルに最悪な関係だから出せなかった?(^^;)
実質、主要登場人物は親友、マネージャーの3人だけ。
とりあえず、AV業なんてやってると、旧友も離れて行く、という発想はなかった。