『レッド・アフガン』☆☆☆★
『秋山由香里の戦車映画講座』と押井守監督が推薦していたので、敢えて買ってみた。
ソ連のT 64だか72だかが一輌だけ登場して、その1輌しか戦車はでてこない。けっこう低予算映画だった。
アメリカ映画なのにソ連軍人が主人公なのが珍しい。当然()それ人が喋るのも英語だ。戦車長がちょっといかれていて、主人公はその部下。この構図は『フューリー』とほぼ同じ(まあ、ブラピが主人公なのは大前提)。
はっきり言って「ソ連は悪いけど、中には良い奴もいますよ」というプロパガンダ映画である。
でも、映画として、なかんずく戦車映画として面白いかどうかはまた別。
イスラエルのティランの改造とは言え、本物のソ連戦車が砂煙を上げて爆走する、ディテールフルなエクステリアをアップで見られる、ソ連/ロシア戦車ファン必見の映画になっている。
映画としては、とにかく敵のR P Gが全く当たらない(^^;)まあ確かに、当たったら話が終わっちゃうか
だが、ラストにしてからが、炎上してほうほうの体で逃げ出すのだ。下部の脱出ハッチから入って来たり、履帯とタイヤの隙間を凝縮したり、『フューリー』に勝るとも劣らないマニアックさ。履帯とタイヤの隙間から出てくるのは、その前に轢き殺した人間の手首なのだが…(@_@)
肝腎のストーリーだが、イスラムの「敵を許す」教義を逆手に取る、ちょっと卑怯というか、有り得ないやろ、というラスト。
そもそも、アメリカの敵を主役にした時点で、ストレートな娯楽作にまとめるのは無理があり、そもそも使える戦車がそれしかなかった所から逆算して捻り出した話なんじゃないかとすら思える。
結果として戦車マニア御用達の映画になったんだから良しとすべきだろう。
戦車の質感は『フューリー』の方がよく分かるのに、この差は、私的なシャーマン嫌いのせいか(^_^;)