思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『ブレードレンナー2049』

『ブレードレンナー2049』☆☆☆★

オリジナルの『ブレードレンナー』は、観てはいるが、何が面白いのか、正直分からなかったクチ。本作もそこまで期待していなかったが、『ターミネーター』みたいな例(例外?)もあるので、いちおう観てみた。
まず、画面は綺麗。前作のようなゴチャゴチャとは対極的に、広大かつシンプル。『オブリビオン』や『ライフ』など、最近の大作SF映画の主流に添ったデザインとも言える。一見すると、低予算かと錯覚する人もいるんじゃないか、というくらい。だが、そうではないのは、映像の美しさを見れば思い直すであろう。美術、照明、撮影スタッフのレベルの高さはさすがハリウッド大作というところ。
面白かったのが、終盤に主人公が訪れる町が、PS2ゲーム『アヌビス』中盤に登場するそれとそっくりなこと。道路から斜めに低いビルが並ぶところとか、パクったんじゃないか? というくらい。
本作は、まるで『攻殻機動隊』と『イノセンス』じゃないか?というくらい要素が似ている。
宣伝にも出ているからネタバレではないだろう、前作の主人公がラストにだけ出てくるのも同じ。主人公のアイデンティティや、魂、記憶といったテーマも同じ。まあ、そもそも『ブレードレンナー』と『攻殻機動隊』じたいが、根っこを同じくする兄妹、みたいな2関係だから、無理もないのかもしれないが……。
続編の定番展開でもある、大量のレプリカントとのドンパチがあるわけでもない。『エイリアン』で言えば、『2』路線ではなく、『プロメテウス』路線と言える。
テーマ的には、ノワールとまではいかないが、SFとして、人造人間には人権なんてない、と冒頭からラストまで、コンスタントに殺されるシーンがある。本作は、乱暴に言えば、人造人間の哀しみを描いただけ。宇多丸師匠(師匠は基本、好感)の言(『スカイ・クロラ』評)を借りれば、「存在しない問題を設定して、問題だと悩んでいる」のと何が違うの?
まあ、『ブレードレンナー』ありきの続編だから、続編を作らざるを得ないから設定した(前作を存在するとすれば)と言えなくもないが……。
KのAIが、売春婦にCGを重ね合わせて、セックスしている風のシーンも、感情移入している人なら、切ないシーンなのかもしれないが、私的には「バカだ」と滑稽にしか思えなかった。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、ではないが、スピナーが着地する前に、まっすぐ降りればいい状況なのに、必ず1回転する「カッコつけ」ぶりも鼻についた。
続編というより、アーティスティックなスピンオフならアリだと思うが。

以下、ネタバレ

人造人間の命(?)の軽さ、という点において、前作のヒロインであるレイチェルのコピーが出てくるが、ハリソン君が全く動じない(役に立たない)と分かると、あっさり撃ち殺すのは良かった(^_^;)
そもそも、ハリソン君の役に立たないっぷりも凄いが。『Zガンダム』のアムロ以上だ。