思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

13デイズ
☆☆☆★

キューバ危機についてはその教科書的なこと以外、ほとんど知らないので、勉強のために観てみた。
まずは、編集のテンポがいいので、グイグイ乗せられてしまう。2週間を2時間半にまとめるので、必然的にそうならざるを得ないのかもしれないが……。
ただ、時々白黒になる意味はよく分からなかった。演劇で言えば舞台転換のシーンのような感じではあったが……。テレビで映像が残されているシーンってこととも言えなさそうだったし。映画的なメリハリ効果もなかったし。どうせなら、冒頭のケビンの家族シーンと最後の危機が回避された後だけカラーで、どうなるか分からない真ん中はモノクロ、とかにすれば良かったのに。
主役のケビン・コスナーが良くなかった。実在の人物は独善的なブルドーザータイプだったのを、家族思いのマイホームパパ風のシーンを入れることで良く見せようとしているとしか思えなかった。要するにいけすかない奴。ケネディ大統領は別格としても、ケビンの相棒の補佐官(役職は違うかも。覚えられないので)のほうが遥かに好感が持てた。
主目的である状況の経緯。キューバソ連が中距離ミサイル搬入&設置、米国の対応はキューバのミサイル撃破か海上封鎖か、ソ連への情報ルートを使ったソ連首相の真意確認と情報そのものの真偽、ミサイル撤去の対価……。それらの背後には、最悪のシナリオとして、ソ連のベルリン侵攻、米のキューバ侵攻、ソ連の核ミサイル攻撃、米の反撃、という第三次世界大戦の危機があってこそのキューバ「危機」である、ということだ(もちろん、それも劇中で説明してくれる)。ただ、オーブニングはともかく、何回も核実験の映像がインサートされるのはダサダサ(そのうち1回は劇中でリアルタイムであった核実験の表現であるにせよ)。せめて危機感が最高潮に達した時の悪夢的ビジョンとして1度だけ出すなら良いと思うけど。
大統領命令が全軍に完全に行き渡っていなかったというより理解されていないことにより、危機の最中にも誤射があったり、核実験があったりしたことも面白い(恐ろしい)。
ミリオタ的には、当時の航空機がいろいろ出てくるのが見所。ただし、政治が基本なので、どれも映るのはちょっとだけ。時代的にしょうがないにせよ、兵器的には主役級と言っていいU2のCGがもうひとつだったのは残念。アクションシーンもあるが高高度シーンだけなんだから、大型ミニチュアのほうが良かったと思うけど……。実際にカメラ部分のアップは実物大セットがミニチュアでしょ。
私的に1番グッと来たのは、駆逐艦の臨戦態勢シーンで、サイドワインダーか何かをランチャーにセットするカット。
国際謀略ものとして、実際に話ができる米国内のスパイや大使だけが登場し、ソ連首脳が一切出てこないのも良かった。いわゆるホットラインも当時はなかった(『沈黙の艦隊』のせいで現在はあると思っているが、実は現在もないかも?)んやね。
キューバ危機をソ連から描いた映画も観てみたいが、まあ無理だろうなぁ……。