思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『貞子3D2』
☆★

タイトルがわけわからんことになってるなぁ……。『2』となっているが、実質的に前後編の後編と言える。主人公は滝本見織(前作から継続だっけ? 前作は石原さとみだっけ? 滝本見織主演のホラーは別の作品だったっけ?全然覚えてないわ)。驚愕や、恐れおののくというより、目を剥く演技が印象的。主人公に感情移入できないので、怖さも共感できないんだよなぁ。
とにかく画面が異常に暗い。真っ昼間なのに、どこもかしこもブラインドを下ろし、海の中か?というくらい青い光が外から漏れて来るだけ。そのせいか、主人公は何回も白昼夢に悩まされる。前作でも書いたが、不穏な不安で怖がらせられないもんだから、いきなり怪物が襲ってくる、ショッキングな映像をねじ込まないとホラーとして成立しない……ってダメダメやん( ´Д`)試しに幻視シーンを抜いてごらん?何も怖くないから。
また、終盤で主人公を助けに来た石原さとみの兄が、手を伸ばしたカットにまでショッキングな効果音をつけるなど、客をバカにした演出。
川井さんの音楽は、そんな音響設計ゆえ、叙情的にしんみりさせるシーンのみ(もしくは、それ以外には印象に残らないくらい控え目)。
前作にもあったような気もするが、いきなり井戸が出現するとか、ギャグ以外の何物でもないでしょ?スタンド能力?( ´Д`)
前作よりましなところがあるとすれば、ただの長髪モンスターと化した貞子がほとんど登場しないこと。というより、本筋とほとんど関係ない。貞子が登場しなくても成立する話なのだ。
どんな話かと言えば、少女が実母に会いたい、という話。これ、長期刑の囚人が、服役前に出産した娘の話としても成立するよね?( ´Д`)
本作はそれと、自らも母親の自殺に対して自責の念を抱える滝本見織の悪夢を、貞子の幻視と絡めて作ってあり、続編でありつつスピンオフ的な、どっちつかずの印象なのだ。
(無理矢理?)良かった点を挙げるなら、貞子の霊力で( ´Д`)拳銃自殺する刑事の頭の反対側に血しぶきが飛ぶカットくらいか(^_^;)


以下、ネタバレ

唯一面白かったのは、ようやくラストに登場した石原さとみ。貞子が憑依している微妙な設定ゆえか、刑事に射殺されるところが意外で楽しかった。
超ロングヘアを床に垂らして眠るシチュエーションは、聖母的に美化したいのか、悪霊に取りつかれた邪悪なものなのか、どっちにしたいんだ?と言いたくなる。完成した映像は明らかに前者なので、自分の身を呈して、悪霊たる貞子を封じた、と描きたいのかもしれないが、それにしては貞子は普通に暴れてるやん( ´Д`)オチとしては、結局貞子の遺伝子は娘の身体を依代にして発現、拡散しちゃってる訳だし。石原さとみ何しに来たんだ、という感じ。まあ、本作中では唯一、ロングヘアを不気味なものではなく、美しいものとして描いている、貴重なシーンでもあるので、ロングヘアフェチとしては複雑な心境ではあるが……。