思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『サバイバル・ファミリー』
☆☆☆★

突然に電化製品が使用不能になる、という現象に遭遇した東京のある家族が、サバイバルする姿を描く。
パニックもの、ディザスターもののバリエーションだが、ある意味で『首都消失』をミクロの視点で描いたような雰囲気もある。
ルックとしては『アイアムアヒーロー』みたいなのだが、撮影監督とかが同じだったりする??(調べてないけど) 序盤の、家の周辺に拡大してゆく非日常、という流れは全く同じ。
設定や展開は、SF短編でよくありがちなもの。
最初に挙げたように、災害に遭った時にどうするか、というシミュレーションものとしての効能もある。小学校で勉学のために上映したらいいんじゃないかな〜。
結局は昭和の暮らしがベスト、という結論にならざるをえない、というか、想像以上に電化製品がなくても何の問題もない(ように描いていた)のが興味深かった。

以下、ネタバレ

災害をエンタメ的に楽しむ藤原紀香時任三郎たち家族はやりすぎだが、おそらくもう何日も経つと馬脚を露わすであろうことが示唆されている(のではあるまいか)。その後に登場する本当の生活力がある農家との対比、という意味でも、そうでなければらないない。が、ラストで写真が送られてくるので、伏線としてはいいが、そういうテーマ的には、それってどうなのかなぁ…。
山口に至って蒸気機関車が登場する、というのはナイスな設定だが、それで鹿児島まで行く、というのは無理がある。定期的に運行してノウハウがある山口とは勝手が違って、九州では整備できないし、水や石炭も補給できないだろう。何より、山口周辺でピストンというか、シャトル運行するのが妥当だろう。
宇多丸師匠も行っていたが、原発の問題とか、全世界的な問題としてしまうと、いろいろポリティカル・フィクション的な問題が頻出する。どうせなら、それこそ首都消失的な、局地的な問題に絞ったほうがよかったのでは? ジュヴナイル短編小説とかなら、その辺は気にならないのであろうが。