『鬼畜の家』深木章子
☆☆☆☆
原書房
同名のノンフィクションがあるが、まさに育児放棄・子供殺しの親の事件と、尼崎連続殺人事件のオバハンを合わせたような発想から来ている。
それを、宮部みゆきや恩田陸のように、探偵が色々な関係者に話を聞くモノローグだけが提示される、という構成。
序盤からすると、どうなるか分からないので、なんか山田風太郎の初期短編ミステリーを読んでいるような雰囲気も感じた。『眼中悪魔』みたいな雰囲気もあったし。
読んでいると、次第に引き込まれていくし、ラストのどんでん返しも、王道のトリックかつ、予想の斜め横(ってことはただの横か(^_^;))を行くオチもあるが、トリック、テーマ、人間の描き込みが、どれも及第点で、ケチのつけどころがない。逆に、飛び抜けた想定外の要素もないが、そこまで望むのは、大傑作を作れ、ということなので、これで充分だろう。
人間の描き込み、ということなら、最初に挙げたノンフィクションのほうが余程怖い。