思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『ゾンビ・ストリッパーズ』

邦画オリジナルタイトルかと思いきや、珍しく、原題の直訳。
第一印象は「あ、低予算だ(・。・)(テレビ映画か?)」という感じ。
しばらくすると頭部がふっとんだり「ゴア描写は頑張ってるなぁ……。これは拾い物かも?」となる。
30分くらいすると、噛まれたゾンビ討伐部隊の男が逃げ込んだところが、何故かストリップ劇場で、そこのダンサー達の人間模様が延々描かれる。噛まれた男もどこへ行ったやら。「なんだこれ(構成)?」だが、これはこれでストリッパーたちの職業映画として悪くない。
……と油断していると、噛まれた男がストリッパーを噛み、映画は次の展開へ。ここからが恐るべき独自展開で、ストリッパーたちは、自我は保ってるし見た目もゴスメイクになるだけで観客たちにはゾンビには見えない。しかもゾンビ・ストリッパーたちのダンスは客のハートを麻薬のように掴むのだ。ただし、私(視聴者)には、別に魅力的には見えないのが難点なのだが……。ここを怪しく美しい特殊メイクで視聴者に納得させられれば、本作はカルト的な名作になったであろうのに、惜しい。
また、『アイアムアヒーロー』にもあった、ゾンビに自我のある人とない人が分かれる区別がストーリー上の都合としか思えないのは結構重大な問題であろう。
そこから、ゾンビ・ストリッパーたちと、ただの人間たちとの確執が描かれるのだ。これ、(作中でニーチェを読んでいるストリッパーという日本の深夜アニメか?という設定が出てくるが)悪魔に魂を売って超能力を手にいれる『ファウスト』そのものやん!(@_@;)
本作で残念なのはクライマックス。冒頭の部隊がストリップ小屋に乗り込んで殲滅するのだが、このへんのコメディ演出と、隠せない低予算っぽさは、日本のC級映画かと見紛うほど。田口昇『片腕マシンガール』や『ザボーガー』みたい。主人公?の新人ストリッパーが、御託を並べていた割りに舞台で脱ぐことができず、結局最後まで脱がないのも日本映画の悪弊。

ゴア描写に限れば、頭部をふっとばす、顎がちぎれかけてブラブラしたまま、舌を引き抜く、マシンガンで文字通り身体をバラバラにする、など、バラエティに富んでいて楽しい。そうそう、股間にボールを入れてライバルに向けて発射する(どう考えても手で投げたほうが強そう)とか、完全に井口または河崎実演出だ!(^_^;)