思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『プロジェクト・ネメシス』
☆☆☆★
角川文庫

ベテラン(?)外人作家によるストレートな怪獣もの。
怪獣に倒される人間たちの描写など、誰が死ぬか分からない(大量に人が死ぬ)ところは良い。
怪獣の強さも「わかっている」ポイントだ。機関銃は言うまでもなく、ミサイルも効果がない。「核しかないのか?」となる、(良い意味で)お約束の展開。ただ、シリーズの序章という位置づけでもあるためか、実際に使うには至らない。
コメディやギャグも随所にあるが、どれもアメリカンジョークで、少なくとも日本人からすれば滑っているとしか感じない。
ストーリーは、乱暴に言えば、エックスファイル的な部署にいる主人公が、最終的には軍に指示することになるので、いささかハリウッド映画的なご都合主義に感じる。大統領はお邪魔虫的に、名前だけ出てくる。
マイゴという名前は、「迷子」だと言及されるが、フィリピンなどの東南アジア系の名前にしか思えない。別に日本人ではないので良いのだが……。
海外ブロックバスター的な小説の常として冗長な説明や描写が多い。特に前半150ページくらい。この手の小説を読みなれた人なら、飛ばすべきパートは分かりやすいのだが。
怪獣のデザインは、ちょっとイリスとシン・ゴジラを合わせたっぽい。イラストそのものは『怪獣要撃戦』のやつみたいで、「どんな形状か」を掴むには充分だが、デザインとして魅力あるものではない。特に顔。なんか『スピーシーズ』とか、海外エイリアンものみたい。
そもそもの元凶が、『GMK』のギドラか『ファイナルウォーズ』のガイガンみたいに、かつて倒された怪獣の細胞から生まれたもので(バラがないが、まんまビオランテだ)、それについては次巻以降に持ち越し。ひとつの怪獣の細胞から怪獣と人間が生まれる、というのは、ありそうでなかったかな?怪獣じゃないけど、『Gガンダム』に近い?
とりあえず、新刊で買ってまで続きを読むほどの魅力はないなぁ……。