思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『星系出雲の兵站(4)』林譲治

とりあえずの決着と、ガイアス人の正体が分かる。
どちらも、ファースト・コンタクトもの、ハードSFの両面からしても及第点なのだが。終わって見れば、4巻でようやく第1部が終わり、というのは長すぎる。少なくとも、ここまでの内容なら、上下巻でスピーディーにまとめて欲しかった。案の定、白兵戦の描写が構想より肥大したとあとがきに書いてあった( ´Д`)

以下、ネタバレ

集合知性体という設定は前例が多いが、30万という個体数を超えると、知能だけでなく知性が生じ、さらにそこから再び下回ると元に戻る、というのが面白い。最初は原始的・反射的な反応だったのに、次第に戦術・戦略を高めるところも、物語上の盛り上がりと相乗効果を上げているし。
本作の主役であり、特徴でもある兵站だが、主役級に兵站主任がいる以外は、この巻のクライマックスになるまで、本作ならではの真面目を発揮しない。ビーム砲ではなく、機雷(谷甲州ファンなら説明不要だがイメージ的には現用兵器におけるクラスター爆弾に近い)の増産を進言する件がそれだが、これとて幕僚や参謀が思いつき、かつ実行できるもの。
……結局、企画倒れやん( ´Д`)
いや、内容そのものは良いんだけどね。