思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『ボクたちのBL論』サンキュータツオ春日太一
☆☆☆★
河出文庫

サンキュータツオが講師やくとなり、BL初心者の春日太一に講義する、というスタイル。男による、男のためのBL入門書である。
BLとは、ひとことで言えば、登場人物の描かれていない関係性を妄想すること。それが二次創作に結びつくかどうかは別問題なのだ。
私的には、ある意味では楽しめる部分もあるが、最後まで読んでも、やっぱり面倒臭いなぁ……というのが正直なところ。とはいえ、妄想のプロセスや方向性は理解できたので、授業を受けた価値はあった気がする。
春日氏の性癖や体質のカミングアウトから、BLとセックスの関係も深掘りされているのが勉強になる。
本書はそういう感じで、男向けの入門書としては80点(及第点)。最大の欠片が、リアル腐女子による授業がないこと。せめてボリューミーな文庫版の追加対談くらいでは、対談中に出てくる金田淳子内田理央あたりに特別授業を願いたかった。