思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『バーフバリ 伝説誕生』
☆☆☆☆

多角形の十段階評価図を作ると、十点の項目と四点の項目がギザギザになるであろう、怪作・快作。
まず、香港映画を思わせる「ハチャメチャでも、楽しければいい」という理屈や現実味よりも娯楽性を全面に出した演出。人間場馴れした主人公の怪力や、序盤で滝を登るシーンぐらいなら、勢いある演出、というレベルなのだが、 雪崩をサーフィンよろしく乗りこなす(逃げる)シーンには、誰もが「ありえへんやろー?!」と突っ込むだろう。ムービープラス海保知里アナが「ツッコミどころ満載」と評していたが、まさにそれ。『少林サッカー』とか『逆境ナイン』なんかに通じる。真面目にやっているが、表現が過剰なのでボケになっている、というところが似ているかも。本作では、笑わせようとやっている訳ではないのだが。
説明的な台詞を廃して、勢いで突っ走る全体のドライブ感は『マッドマックス 怒りのデスロード』に通じる。悩んだり、悩んで考え込んでいる人物(カット)なんてない!
面白いのが、インド映画のトレードマークと言える躍りのシーン。セリフで語らせると長くなる恋愛や、設定説明を歌詞でやってしまうことで、ストーリーが止まらない。他のインドでは、子供向けアニメ映画と同じようなサービスシーンなのかもしれないが、本作では、歌劇嫌いの私でも抵抗なく観られた。
CGはチープで、ファンタジーだという割りきりもあるのか、ビジュアルでもCGのレベルでも、『プロミス』を連想した。
戦争シーンは明らかに『ロード・オブ・ザ・リング』。群衆を俯瞰で動かすカットくらいは違和感なく観られる。しかし、投石器などあからさみにチープで、笑える(^_^;)笑えるといえば、主人公の弟が乗る戦車も、馬の前にプロペラ状の刃が(どんな仕組みだ? 車輪と連動?)回転しているという、普通なら悪役が乗る凶悪兵器(^_^;)
矢が雨あられと降り注ぐのは『英雄』『墨攻』など中国映画の影響か。初めて観る人はともかく、よそで観たことがある人にとってはギャグだよなぁ……。遠すぎて見える訳ないのに、前線の戦いを目の前で見るようなリアクションをする女王とかも。
アクションは、殺陣には香港スターほどのキレはなく、大きな動きと、瞬間的にスローモーションになる演出でカバーしている。香港カンフーマニア以外ならなんとかごまかせるレベルか(・。・)
剣を切ったり(剣で切ったりの誤字ではない!)、主人公が振るう武器の衝撃が感じられないとか、ハッタリ重視の演出。
最大のドンデン返しは、ラストの告白よりも、一人の人間の話(一代記)じゃなかったの? ということ(^_^;)