思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ザ・モモタロウ(10)』
☆☆☆☆
ギャグもラストエピソードの「ヤマトタケル編」になるまでは意外なほどキレが良い。「カグヤ編」とかね。完結が決まって吹っ切れたかな?
改めて感じるのが、作者のデザインセンスだ。逆に、デッサン力は(現在に至るも)低い。前者は「カグヤ編」のもんがー・かぐや姫の昇天(月に帰る)コマと、後者は(当然当時の単行本版の)カバーイラストのキンタロウを見れば顕著だろう。

クローサー
☆☆☆☆
同名のハリウッド映画もあるようだが、それより前に作られた香港映画。原題は『夕陽天使』で英語題は『so Close』。
久しぶりに見ると、意外と魅力溢れるところと、やっぱり香港映画らしいB級な節操のなさが同居するが、結果的には前者が勝っている偏愛作品。ヴィッキーの姉であるスー・チーが途中で死ぬところとか、重要な展開なのにすっかり忘れていたり(^_^;)
本作は大雑把に言うと、『キャッツアイ』を『マトリックス』と『フィスト・オブ・レジェンド 怒りの鉄拳』風味に仕上げた作品。
最大の魅力は『チャーリーズ・エンジェル』とは違う正統派路線で女性版『マトリックス』を目指した作品、と言う事だ。もちろんハリウッドに比べたら金は全然ないのだが、そこは勢いで乗り切ろう、と言う潔い演出。ギミック付きシューズで天井に張り付いたり、柱に横に立ったりと言う『スウォーズマン』からの荒唐無稽アクションを、美人だから、と言う強引な根拠で見せ切るところがいい!
ガンアクションは思っていたより長くて、見せ方にもそこまでバリエーションがないために多少冗長だが、まあ許せる。中盤のカレン・モクスー・チーのクローズド・コンバットは、アクション監督が趣向を凝らしたアクションが見られるのだが、如何せんどちらも達人ではないので、それぞれの動きのキレが悪い。開脚や型など、身体自体はしっかり動いているのだが、スピード感が。
一番不要なのは姉や、女刑事(姉と刑事ではない)それぞれの恋愛模様で、バッサリ切って90分くらいにした方が良かったと思うのだが…。
そんな感じで全体的に、香港映画ではおなじみの、ある意味ゆるいハリウッドのパクリ路線で終わるのかと思いきや…、ラストバトルは香港アクションの本領を全開した燃える展開に。カレン・モク対SPもなかなかのものなのだが、用心棒の親玉である倉田師匠とのバトルは唐突に日本趣味の部屋に映るなど、明らかに『フィスト・オブ・レジェンド 怒りの鉄拳』のラストバトルを意識したもの(そっちで倉田師匠が戦うのは映画中盤の野原だが)。
そこでは『修羅雪姫』を思わせる、男勝りのハードな剣戟。女優でも容赦なく血まみれにする香港映画ならではの気迫溢れるハードかつ、スピーディーでスタイリッシュな和風アクションが見られる。この場面のためだけでも本作を観る価値はある。

『FSSデザインズ(6)』
☆☆☆☆