思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

パシフィック・リム アップライジング』
☆☆☆☆

気になる点はちょこちょこあるものの、基本的には満足。
最大の良いポイントは、ダレ場がないこと。もちろん多少の人間ドラマやしんみりポイントはあるが、適度に分散しているので、退屈するまでいかないのだ。
何より、前作で宇多丸師匠が指摘していたような欠点がほぼ克服されていたのが素晴らしい。まるでラジオを聴いてたんじゃないかと思うくらい。敢えて補完しきれていない要素を挙げるなら、イェーガーが爽快に怪獣をやっつけるシーンくらいか。だがそれもラストによって気にならないレベル。
ストーリーの山場を、ちょうど前作の香港の戦いと重ねる感じにしているところが代表的な改善ポイント。

最初に手作りイェーガーが出てくるが、ガンダムのプチモビというか、トランスフォーマーみたい。ただし一人乗りというアイデアは面白いし、ラストに伏線として活きてくるのも良い。
本作は、前作よりギャグ多め。死人も結構出ているのだが、直接間接ともに見せないので、子どもでも安心(?)。
何よりも日本のオタク的に見逃せないのが、前作よりも大量に出てくる、日本のアニメ、特撮のオマージュ。『エヴァ』の量産型や『ガメラ2』のソルジャーレギオンは分かりやすいだろうが、ガンダムハンマーとか、『パト2』の後藤&南雲隊長のエレベーターのシーンまで。
お台場のユニコーンは言うまでもないが、そこがアナハイム社ってとこまで初見で気がついたかな?(^_^;)
機関砲が背中に反転するのもどこかで見たなあ……。
個人的なのか、実は万人にとってなのか分からないが、本作最大のポイントは、ラスボスの怪獣が格好良いことに尽きる。どことなくデストロイアを思わせる、日本の特撮作品に出ても違和感のない素晴らしさ。撮りかたも、いちいち見栄を切ってくれる。他の怪獣やイェーガーがポーズこそ決めているのに、カメラがすぐ動くので盛り上がるタメがないことに比べると対称的。

後は、分かりやすい残念ポイントが2つ。1つが劇伴が前作のような燃えるテーマを多様していないこと。
もう1つが、ボイエガ演じる主人公が、グレて斜に構えたところから、女の子に説教するまでに真剣に自分の役目を果たすようになる心境の変化が描かれていないこと。義理姉のマコが死んだことがそうだと思うが、描写が全然足りていない。

一応二大ツッコミポイントについて触れると、東京の街並みと富士山が近いこと、富士山は活火山ではなく休火山であること、いずれも未来の話、ということで無理矢理に説明は可能な範囲か。

イェーガーのデザインは、全般的に前作よりはましだが、あと一歩欲しかったなあ……。カトキハジメの起用は無理でも、せめて河森正治とか宮武一貴とか……。
敵地に乗り込む『逆襲のイェーガー』(勝手に命名)が次作としてある終わりかただったので、そんな期待も。

<補足>
某所の意見を聞いて思ったこと。
特撮ファンには、大雑把に「ウルトラマン」「戦隊」ファンと、「ゴジラ」ファンの2つの人種がいると思う。要するに、ヒーローが怪獣を倒すところを見たい派と、怪獣が暴れるところを見たい派だ。
私は後者ってことを再確認。なので平成ガメラは大好きだが、『シン・ゴジラ』には一歩引いてしまう(前半は大好き)。

単純に書き忘れたこと。
ローリーがいなかったのは完全に忘れてた(気づかなかった)が、マコが死んだのは、『ビオランテ』で沢口靖子がすぐに死んだことや、『GMMG』で釈由美子がちょっとだけ登場したことへのオマージュかな、なんて肯定的に捉えてた。

ただし、のちにテレビでやってた前作を見ると、細かい重厚な演出が本作では皆無なのに愕然とした(^_^;)