思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ファイナル・デッドコースター
☆☆☆★
原題は『ファイナル・デスティネーション3』。邦題的には、これは<ファイナル>シリーズってこと?何作目かわかりづらくてややこしいなぁ…(´д`)
本作は問題が多い。
まず、最初の事故と、それをフラッシュフォワードするまでが、長い。90分程度ということもあるが、シリーズ3作目で、段取り・お約束として観客は皆わかっているのに。
何故前2作よりもダラダラしているのかというと、本作はシリーズのルールを変えているから。
ダラダラ長い序盤で、主人公が撮影したデジカメ写真の中に写り込んでいる状況の通りに、ジェットコースターに乗る筈だった人が死んで行くのだ。これまでは、順番しか分からなかった。ただし、これは視聴者にだけわかればいいことで、登場人物がそこまで気がつく、というのは都合良すぎるというか、無理でしょ?
そんな御都合主義的なストーリーなので、登場人物たちの人間関係や会話は、はっきり言って無駄。
本作の見所は、画面に次々に映し出される「怪しいブツ」が、どう組み合わさって、あるいはどれが使われて登場人物が死ぬのか、を推理(読む)ことにある(というか、それにしかないかも)。
映像的には、日焼けサロンで焼け死ぬ、というバカバカしい死に方から、日焼けマシンからオーバーラップ的に切り替わって棺桶になる編集が面白い。
死に方的には、頭に釘打ちガンが「ガン、ガン、ガン!」と打ち込まれて行くカットが衝撃(^_^;)
ラストは、地下鉄の事故でほぼ全員死亡(主人公だけが生き残るが、続いてきた対向車両に轢き殺される感じ)。こういう列車事故映像で、一瞬ではなく、順番に、時間をかけて乗っている人が死んで行くというのは珍しいかも。
じゃあ、苦労して冒頭のジェットコースターから生き残ったのはなんだったんだ!?という感じ。
第2作では1作目の登場人物が出てきたが、本作では、事件について触れられるだけ。諸々含めて、本作は番外編的な位置づけかも。

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松竹 2013-01-30


『ウオッチメン』
原作と平行して見直した感想。当然ネタバレあり(^_^;)

最大の問題は、オジマンディアスの計画内容の変更だろう。原作では、影の主役というか、ミステリー的に言えば、真犯人である彼のトリックを改変したことで、完全犯罪が成立しなくなってしまったのだ。
もちろんこの喩えでは、犯罪とは、世界の主要都市の破壊ではなく、それによって人類を核戦争の危機から救うことである。
「宇宙人の侵略」というアイデアが、時代遅れかつ馬鹿馬鹿しいと思ったのかもしれないが、じゃあ、映画においてそれに代わる人類共通の危機を設定できたのかと言えば、宇多丸師匠の言う通り全くダメ。ドクター・マンハッタンの仕業にするなら、ブルー・マンになった直後に火星で陰棲しており、当然ベトナム戦争なんかには加担していないことにしないと(あ、これだと宇宙人の侵略と大同小異か)。
改めて原作では、テレポートの爆発だけでなく、芸術家のデザインと、超能力者の脳による、三重の破壊力など、実に唸らされる。
原作の白眉なので、これを変えたのが実に惜しい。これを説明するのは、確かに尺的には難しいが、原作を映画化するなら、他のシーンを大幅に削ってでも入れるべきもの。
もし省略するなら、ある程度は認知度がある、クトゥルー怪物とかの造形を用いるとか。

良かったところは、ビジュアル的な格好良さ。原作以上にバットマンっぽいナイトオウルや、これまた原作ではおばさんにしか見えないミス・ジュピターがセクシーだとか。