思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

須田稔『なぜ、キミは上司に好かれないのか』を読む

部下としてはもちろん、上司の立場も書かれた、中間管理職向けの心得本。

印象に残ったところ。

「相手の悪口を言うときは自分の心に余裕がなく、相手に振り回されている状態なのだ。しかも相手は関与していない状態で、自分で自分を振り回し、心身にストレスを与えているという悪循環に陥っている。 まず、そんな負のスパイラルから抜け出すことが先決だ。」


「自分のリクエストが採用されないことも当然ある。だが、そのリクエストが何らかの発想転換のヒントになればいい、ぐらいの気持ちで行う方がいい。」

「「ある仕事において、能力のない人はせいぜい人はせいぜい1%にすぎない。他の99%はきちんと仕事をする善良な職員であるが、問題は、彼らが非常に単純なミスを犯すことである。しかも、その過失は業務工程によって引き起こされるのである」この言葉は、ハーバード大学公衆衛生学の権威ルシアン・リープ博士が医療現場のヒューマンエラーについて述べたものだ(略)「人は誰でも間違える。だから医療事故はかならず起きる」ことを前提に、その要因として以下の8つが挙げられるという。 「怠慢」 「記憶の脱落」 「連携の失敗」 「設計に不備のある機器の使用」 「疲労消耗」 「無知」 「気が散りやすい作業現場」 「多すぎる人的および環境的要因の関与」(略)ミスは必ず起こるのである。」

『26世紀青年』

邦題は思いっきり『21世紀少年』のパクリだが、意外にも内容とはドンピシャ。
一年間の予定で、軍の冷凍睡眠の実験台に選ばれた見知らぬ男女が、アクシデントで26世紀に目覚め、その馬鹿馬鹿しい世界で奮闘する話だからだ。
何が馬鹿馬鹿しいかと言えば、26世紀には、人類が全員馬鹿になっているという設定だから。その経緯についての設定に突っ込むのは徒労なので辞め。
本作は突飛な世界でのドタバタコメディっぷりを楽しむ(楽しめない?)映画だからだ。
基本的に馬鹿映画だが、ラストのヒロインの選択(決意)や、タイムマシンに関するオチなどは、思わず「やられた」と唸る論理的な伏線回収だった。

『猿の証言』
☆☆☆★
仕事が忙しかったのもあるが、600ページあるとは言え、丸々一週間もかかってしまった。
覆面作家ということだが、髪型や服装の描写が丁寧なので、女性じゃないかなぁ…。離婚がどうとか、男女間の関係描写についても、その結果の大部さとか、宮部みゆきとかと似たものがあるのかも。
とは言え、その長さの原因は、Aと思ったらBだった、でもAとも考えられる、新しい証拠が出てきたからCという可能性も…、いや、実はAでは?なんていうよく言えばどんでん返しの連続、悪く言えばこねくり回しているだけなので、うんざりする人もいそう。
もう一つは、いわゆる普通の小説的な描写が多いので、これも純粋な謎解きミステリーだけが好きな人の減点要因。
チンパンジー人間についての化学的な解説に関するセリフなど、数ページにわたってほぼ改行なしでびっしり書かれていたりするので読むのに時間がかかるんだよ〜。書かれている内容自体は別に難しいことはないのだが。
チンパンジーと人間との定義の問題とか、『人面の猿』佐野洋と非常に似ている。ある意味、同作のアップデート版
と言っても過言ではないだろう。中間小説的というか。
諸々の減点要因は、要するに長い、ということ。これが20ページ弱なら、スッキリ読めて☆か★くらいは増えていたのに。
後、表紙も気持ち悪い(^_^;)

猿の証言 (文春文庫)猿の証言 (文春文庫)
北川 歩実

文藝春秋 2010-10-08


ウォッチメン
☆☆☆★
前回は、原作未読で見たので、原作を数回読み込んだ後で見てみると、色々と複雑。
前半は意外と良いやん!という感じだが、終盤になる程がっかり感が増してくる。
最大の問題は、オジマンディアスの計画を改変したこと。宇多丸師匠の指摘通り、それによって根本的な本作のテーマが成立しなくなっているのだ。この辺りは、考え抜かれた原作に対して、凡庸なアメコミ映画というか、C級映画と大差ないものに堕しているのが残念すぎる。

映像的には、Dr.マンハッタンをフルCGにしたのが残念。ここはブルー・マンで、発光だけCG補正するくらいの方が、本来は人間であったことがわかっていいんじゃないかなぁ…。

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パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン 2012-02-10


26世紀青年
☆☆☆
ごく普通の青年(と中の下くらいの生活レベルの女)が未来へ行くとどうなるか?という話。
本作のキモは、未来では人類が退化して、バカばっかりになった、という設定にある。

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20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン 2009-10-02