思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『実録 三億円事件 時効成立』
☆☆☆

『一万三千人の容疑者』みたいな雰囲気。ただ、時効が来る前に独自取材をして作り上げた、という情報がなければ評価できない映画かも。それを知らずに後世の人が見ると、NHK『未解決事件』みたいな再現ドラマと大差なくなってしまう。まあ、そんな映画もあっていいのだが。『明治・大正・昭和 猟奇殺人事件』とかもそんな感じだった。映画が娯楽の王様だった時代にはそんな怪奇路線の作品も多かったのだろう。不必要なお色気シーンも2、3あったし。
前半は犯人視点の倒叙もので、後半はベテラン刑事視点の刑事ものになる。普通の警察ものミステリーと異なるのが、手がかりを掴み、最大(最後)の容疑者として犯人を拘束しつつ、自白させられずに時効を迎えてしまうこと。犯人は野に放たれるのだが、盗んだ金は競馬馬購入につぎ込み、しかもその種馬は死んだので、盗んだ金で悠々自適の後半生、という訳でもない。『一万三千人の誘拐』とはまた違った寂寥感が残る映画。
また調べてみないといけない(別にいけなくはない)が、確実な事実は、犯行に車を2台使ったことと、数年後に、どこかの焼却炉で夜に私物を燃やした人がいた、ということくらい? 金を墓に隠したとか、後に種馬購入に使いきった、というのは映画的想像だろう。種馬購入名義貸しで警察に捕まった人がもし実在したなら社会派推理小説ばりの素人探偵(製作スタッフ)に敬意を表するが……。


ドント・ブリーズ
☆☆☆★
日本人的には『ドント・ブレス』つまりは『息もできない』『呼吸も止めろ』とすべきか。色々な事情で泥棒する若者3人組が、今度ターゲットに選んだのが、娘が殺されたことによる保険金は持っているものの、盲目の老人。チョロい仕事に思われたが……という話。
全米大ヒットということだったが、正直普通のアクション・サスペンスという感じ。低予算映画としては良くできているとは思うが……。こういうのはむしろ日本で作って欲しいタイプのアイデア作品だ。

以下、ネタバレ

全盲だが異常に強い、というのは香港アクション映画では見慣れているので、斬新さは感じなかった。むしろ、(喉わもするが)銃ぶっぱなすなら、家の中よりも室外を舞台にすべきでは?室内なればカンフーとか格闘技系のほうが動き的にスカッとするのに。今になって思い出したが、ブライド・ファイトの至高は『フィスト・オブ・レジェンド』のジェット・リーVS倉田昭彦!
主人公が男か女のどっちなのかが分からないのもスッキリしない要素。おまけに男のほうが2回以上も死んだと思ったらそうではかなった、展開なので、本当に殺されようがどうでもよくなってくる。
これも今思ったが、ひたすら毛色を変えてい追いかけられる、というのは『ゼイラム』に通じるかも(違うか(^_^;))。触れてはならないものに触れると……というのはトレジャーハンターものでは定番だし。