思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ランドスケープと夏の定理』高島雄哉
☆☆☆☆
東京創元社

中編3つからなる連作だが、事実上、3章だての長編と見なして差し支えない。
読み始めると誰もが抱くであろう印象が、実にグレッグ・イーガンっぽいというところ。
さらに読み進めれば、本作が、イーガンの超ハードSF的な設定の上に、ラノベ的なストーリー、テレビアニメのような魔法のアイテムが個人的に手に入るところから、紆余曲折はあるものの万事上手く行く、というプロットから成ることが分かる。だからこそ読みやすい、とも言えるが……。
そのマジックアイテムというのが、小惑星帯から引っ張って来た「別次元のミニミニ宇宙」なのだ。いろいろもっともらしい理論や理屈をつけているが、これは『ドラえもん』的に言えば「どんな理論物理学的な問いにも答えてくれる道具」に他ならない。まあ、そのミクロからマクロへの自在に展開される理論武装こそが本作の醍醐味なんだけれど。この宇宙の物理学が通用しない場所へ突入する、というのは正しく『プランク・ダイヴ』と一緒。

「想像力のパルタージュ 新しいSFの言葉をさがして」
あとがきより。作者が各界の人物とウェブで対談した記事があるらしい。

「レオナルド・サスキンド(略)『宇宙のランドスケープ』」
解説で参考書として挙げているもの。ランドスケープとは、れっきとした物理学用語。ブラックホールの事象の地平線とはまた別物らしい。


モデルグラフィックス 2019年1月号』
☆☆☆☆


ジョジョリオン(19)』
☆☆☆★