思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『新生』瀬名秀明
☆☆☆
中編集。
『新生』☆★
宇宙とか、切っ先とか、思弁SFっぽい用語は出てくるが、 エロ小説が書きたかっただけちゃう?
『wonderfulworld』☆☆☆
ブラッドベリのメタファーという概念が頻出するが、小松左京というより、夢枕漠の『サイコダイバー』では?
『ミシェル』☆☆☆★
『虚無回廊』や『果しなき流れの果てに』のオマージュ。軌道上に、光年クラスの円柱が出現するあたりはアニメ『新海底軍艦』や、『永劫』を連想させるが、出オチというか、SF的な飛躍に欠ける。悪い意味で地に足がついたままというか、純文学的というか…。


ウルトラマンギンガS』
☆☆★
アクションそのものは頑張っているが、ストーリーに見所がないのが問題。百歩譲ってトマトが嫌いという設定としても、それを克服する流れがダメダメ。『クレヨンしんちゃん逆襲のロボとーちゃん』を参考にせよ(´д`)


『ライズ・オブ・シードラゴン』
☆☆☆☆
川井さんの音楽目当てで見たのだが、普通に面白かった。さすがはツイ・ハーク!アクションもプロットもCGも、サービス特盛。二時間以上あるのだが、花魁の恋、毒、海竜、探偵など、時間短縮のためにどれか削ろうとしても、それらがきっちり連関しているので、切りづらい。プロットの巧みさだろう。長いのは、それぞれのシーンがサービス過剰だから。ある側面で顕著に現れているのがエンディングだ。余談、蛇足、イメージボード放出など、アホとしか言いようがない(良い意味で)。
川井さんの音楽は、あまりにも適切過ぎるのと、劇伴の音量が小さめなので、エンディングにも使われているメインテーマを除くと、初見では印象に残らない。
オマージュ、パロディとしては、怪獣映画はもちろん、今さら感の否めない『マトリックス』なんかも。ラストは『走れメロス』?(そもそも中国の古典に原典があったりする可能性あり。知らんけど)
生身のアクションとして、十八番のワイヤーアクションは相変わらず格好いいが、『ワンスアポンアタイムインチャイナ』や『魔界教主』のころなら発泡スチロールとかで作っていたような大物を飛ばすアクションをCGにしてしまったので、割りと頑張っているとはいえ、迫力不足なのは否まめない。元がいいので、武器の多彩さなども含め、CGによる多少の減点でも普通のアクション映画よりも面白いのだが。
怪獣映画としては、難しい海獣なのに、構図も含めて、なかなかの迫力。エイ型の怪獣って、世界的に見てもかなり珍しいのでは、それだけでも怪獣ファンは見る価値あり。
ちなみに邦題は英語原題の直訳。漢字原題は見落としたけど、どう見ても海竜ではないよな…。人間が操るところは『海底軍艦』のマンダより、『三大怪獣』のキングギドラや『キングコング対ゴジラ』のコングか。
序盤には、CGによる合成で舞台や人間関係などを視聴者に説明するくどさが気になった。まるでNHKドラマのオープニングか、『歴史秘話ヒストリア』でも見ているかのような白々しさ。中盤以降にはほぼなくなるので良かったが…。
CGではあるが、秘かに良かったのが、蠱の描写である。複数の虫が文字通り蠢くのに注目。


『燃えよ!じじぃドラゴン』
☆☆
いちおうの主人公は、痩せた金城武みたいなやつなのだろうが、実質的にはブルース・リャン。香港映画を見慣れた人ならお馴染みの、ガマガエルみたいな顔のおじさんだ。こういう人が主人公のアクション映画を作れるあたりが香港映画の凄いところだ。二人の立ち位置は、ドモンと東方不敗みたいな感じ。ストーリー的には、特に特筆すべきものはない。アクション演出として、技が決まった時に、『ロミオマストダイ』のようなタイミングで、『スト5』のような筆で描いたようなタッチのエフェクトが入ることが気になったくらい。

『歴史はバーで作られる』
☆☆☆★

邪馬台国はどこですか?』シリーズの最新作だが、バーも、登場人物も異なる…気がするが、同じでも異なっていてもまあどうでもいい。
歴史学者の助手である主人公の主観描写が鬱陶しいが、作者ならではの珍説を流し読めば十分。
中には、バカミスの極致みたいなのがほとんどだが、『ネアルデルタールに花束を』みたいに、ソウヤーの長編SFよろしく、納得せざるをえないものもある。
基本的にバカミスなので、突っ込むのは野暮だが、敢えて言えば『八百屋お七』について。小火で火炙りの刑が重すぎるという反証に、幕府転覆のためのテロ、放火を防ぐ為に小火で火炙りの刑をでっち上げた、というのは完全な矛盾、というより同語反復で破綻している。