思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

仮面ライダーW運命のガイアメモリ』
☆☆☆

宇多丸師匠は絶賛してたが、まあ普通つまり悪くないレベルどまりだと思うなぁ…。
クライマックスまでのアクションは、パンチ&キック、ガンアクション、バイクスタントのどれもが重みがあって素直に良い。
師匠号泣のクライマックスも、テレビ版を通して見ていないせいで、モブカットの連続にしか見えない。Wが風の力を利用するライダーなのかどうかという説明もないし。そもそも、『W』は設定が全く好きになれなくて3話以降見なかったので、キャラ設定的にしっくりこないのがノイズになった。杉本彩と「左くん」の心理にも納得できなかったし。
地に足の着いた戦い方のせいか、敵の幹部クラスとのバトルは格好良かったが、そこからファンタジックな方向へ移ったのが、好みとは違った原因か。『ハカイダー』とか『リベリオン』みたいなガチンコ対決が見たかった。

能力が変わる時に色が変わるだけ、というのはわかりやすくては良かった。ただ、エクスパンドで真ん中が開くのはやり過ぎだろう。

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月世界旅行
☆☆★
面白いとかどうこうより、義務/教養として見た。
画面はフィックスで、背景は書き割りというかマットペインティングというか、極めて舞台的。ちょうどNHKの教育テレビの子供向け番組ででよく見る画面だ(『ムジカ・ピッコリーノ』とか)。
砲弾型ロケで五六人が月へ行って、土人(!)と遭遇し、適当にやっつけて帰って来るという、ターザンとかバロウズ的な冒険SFだ。千九百ゼロ年代に作られた、ウェルズ原作の映画なんだから当然なのかも。
活弁版で見たが、十中八九脚本はなさそうで、まるで『プロ野球珍プレー好プレー』のような適当さ。

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『星々からの歌』
☆☆★

ファーストコンタクトものの一つに、宇宙からのメッセージを受け取る、というものがある。『コンタクト』が代表例だろうが、本作もそのひとつ。
人類の文明が、核戦争によって崩壊した後の世界で、失われた技術をかき集めて宇宙ステーションを目指し、そこでそのメッセージを解読する、という筋立て。
終末世界の描写がいかにも「ラブ&ピース」的で、時代を感じさせる。ドラッグとかフリーセックスとか、いかにもヒッビー的理想郷…?(´Д`)

そのへんはに共感する人以外は、250ページあたりから読んでも、特に問題がない。つまり、現代を舞台にした時との、主人公たちが直面する状況と、取った行動の必然性が感じられないのだ。

ただし、宇宙からのメッセージに含まれる内容は、『2001年』映画版のラストや、『スターメイカー』にも通じる本格SFの醍醐味である、多種多様な環境下での生命が描かれており、読んで損はない。

星々からの歌 (ハヤカワ文庫 SF (594))星々からの歌 (ハヤカワ文庫 SF (594))
ノーマン・スピンラッド 宇佐川 晶子

早川書房 1985-01