『宇宙探偵マグナス・リドルフ』☆☆☆
『宇宙大密室』を思わせるようなタイトルだが、残念ながら、同作と同じく、ミステリSFではない。
なぜならば、原文の肩書きは「探偵」ではなく、「トラブルシューター(解決人)」なのだ。どちらかというと、本格ミステリ的な名探偵ではなく、ハードボイルドにおける私立探偵に近い。
この主人公、マグナス・リドルフは、一応、依頼は解決するものの、お金はきっちり契約書を書いてとりたてるし、おまけに悪意あるおまけまで付けて返す。ほとんど『笑うセールスマン』と言えるかも。
堀晃か石原藤夫的な異星生態系もののハードSFもあるが、古典的なSFの起承転結、という感じの内容が多い。そりゃ、50年代前後に書かれたんだから古くて当然なのだが、酒井昭伸氏の新訳なので、古さはほとんど感じられない。
宇宙探偵マグナス・リドルフ (ジャック・ヴァンス・トレジャリー) ジャック ヴァンス Jack Vance 国書刊行会 2016-06-24 |