思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

井上功『なぜエリート社員がリーダーになると、イノベーションは失敗するのか』

タイトルとは異なり、内容は『企業がイノベーションを成し遂げるには、どうすれば良いか』というもの。


「経営者を根負けさせることが、イノベーターには必読なのです。イノベーション提案は、それが大掛かりなものであるほど、経営者に却下されるものです。それによって内容が磨かれもするのです。一回や二回断られるのは、むしろ当然と思うべきです。そこであきらめるようではイノベーターとは言えません。」


『絡新婦の理』
☆☆☆☆

再読。
長い。1日二百ページ読んでも一週間かかるのだ。
大きく「連続目潰し魔事件」と「連続絞殺魔事件」、そして解決編と、三分冊にするべきだろう。はたまた女子高黒ミサ会と合わせて、四冊でも良い。この構成は『人狼城の恐怖』と似たところがある。
もちろん、本作では冒頭に置かれているエピローグで分かるように、複雑に張り巡らされた事件と人物を繋ぐ糸を辿って行くことが眼目なので、単純なミステリーとしての謎とその解決、と割り切れるものではない。むしろ、女郎蜘蛛の奸計を描いた妖怪小説としての読後感が強い。
その時間的、空間的な複雑さは計画殺人、犯罪計画としては余りにもリアリティがないレベルにまで達しているからだ。
ボリュームも、テレビアニメ1クールのノベライズ、といって過言ではないほど。(逆に言えば、『すべてがFになる』とか『ジョーカー・ゲーム』がテレビアニメになるなら、京極堂シリーズもできるんじゃないかなあ……)
京極堂は、神津恭介型の天才型探偵なので、登場は遅いことが多いが、本作では殊の外遅く、千ページあたりでようやく、となる。
視点人物も木場、今川、女子高生、エピローグに至ってようやく関口など、場面ごとに変わるのも読みにくい原因。巻を分けろという理由のひとつでもある。