思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

スターウォーズ フォースの覚醒』
☆☆☆☆

ネタバレ注意!

ラジオ『宇多丸スターウォーズ特集』全六回での特に高橋ヨシキの氏の予想が大体合ってたはさすが。特に「カンティーナ風なのをやつてくれるんじゃないか」がズバリ的中したのは凄い。
冒頭は絶対に頭上を手前から奥に通り過ぎるスターデストロイヤーだと思ったのに、まさかのスターデストロイヤーながらも惑星を真下からのシルエットで覆い尽くすというカット。船首にアンテナが追加された改装仕様であることも分かるようになっている。
その後の村の襲撃シーンは、通して見た後でも違和感が残る。集落の外が黒いホリゾントとしか思えないセット感や、アクティブなカメラワークがその原因。
今シリーズのマスコットドロイドのBB8はこのシーンからすでに登場していて、いきなりの可愛さで心を鷲掴み(^_^;)首を傾げたりする動きはもちろん、犬とR2を合わせたような絶妙の音声の賜物だ。サウンドデザインがベン・バートかどうかはクレジットで確認できなかったのだが…。
ファーストオーダーのストームトルーパーは、現在は拉致・洗脳で、帝国時代のようにクローンに戻したい派も根強い、ってこと?ちょっと太めのフィンのトルーパーがダサい。ダサいと言えば、今回のトルーパーは、横顔はともかく、正面顔がちと間抜け。
いきなりミレニアムファルコンがあるところから、ハンの登場までが本作ストーリー上の最大の問題点。どちらもそれぞれワンクッションの伏線が欲しかったところ。
化け物の襲撃は『帝国の逆襲』のオマージュ。
そういえばハンはレイが娘である素振りを見せなかったが、気づいていたのかな?レイアの前二文字を取った名前からしても、見る前から明らかなのだが…。
彼女とカイロ・レン(あ、こちらもハ「ン」と「レ」イアの合成だ)がハンとレイアの双子だということは、私のように小説『帝国の復活』から続くシリーズを読んでいる人には自明なのだが(まあ、スピンオフをどこまで正史に導入するかは見るまで分からないが、可能性として)、それらを知らない客は、どのへんで気がつくのかなぁ…?
森の惑星は、帝国の襲撃を含めて『ロードオブザリング旅の仲間』を彷彿させる。酒場の主はヨーダ的存在で、地下室は『帝国の逆襲』の洞窟のオマージュ。フィンがライトセーバーを普通に使うのは、確かに『帝国の逆襲』でハンが一時使ったとは言え、しこりが残る。もしかして彼にもフォースが?(メイス・ウィンドウの子孫なんてことはないか)Xウィング隊の急襲シーンは恰好良かったなぁ。ここに限らず、艦船カットは軒並み素晴らしい。そういえばファルコンを初めて飛ばすシーンでも、ジャンク屋としてスターデストロイヤーの内部を知っているからこそ突っ込める、という伏線も良い。まあ『ジェダイの復讐』のオマージュが半分以上なんだろうけど。その割に一機生き延びてるやん?!と思ったが、考えたら、『ジェダイの復讐』でも往路では一機だか着いて来ていたから、これで正しいのだった。
カイロのマスクも素顔もちとキャラ的に弱い。早くもレンがフォースに目覚めところは驚いたが(ちなみに『新たな希望』のオビ・ワンのオマージュだね)。
ハンもレイアもジジババになったもんだなあ(T_T)
敵の演説はモロにヒトラーのそれ。共和国の惑星ほか4つをまとめてぶっ壊す惑星破壊兵器は、科学考証がどうこう以前に、どこからも見えたり、位置関係が分からないほうが問題。そもそも一度も名前が出てこないが、共和国があるのはコルサントじゃないの?
新たるデススターは惑星を改造したもの。ブラックホールばりに太陽を直接吸い込むのはSFファン的にはトンデモ描写。ただし、攻略法そのものは『4』と『6』のデススター攻略法をミックスしたものに。
キャプテンファズマは仰々しい扱いの割にはヘタレなのだが、次回以降は逆襲してくれるのだろうか…?ダストシュートは『4』のオマージュ。
カイロとハンのやりとりは『5』のオマージュ。これで仲間になっちゃウソやろ…と思っていたら、まさかのハン退場!(ギャラの問題で続投はキツかったから?)
雪の中のライトセーバー戦は、レイの覚醒とも相まって、中々燃える場面ではあるが、剣技が素人のレイはともかく、カイロ(というより、元はレンとレイだったと見たほうが双子っぽいか)も洗練とは程遠い剣技なのが惜しい。ライトセーバーの枝でフィンの肩を焼くところは良かったが。
地割れなどはちとやり過ぎで『2012』か『カリフォルニアダウン』か?!とも思ったが、最終的にデススターの爆発へと繋がる時に『4』と『6』のリターンマッチ的なカタルシスを生む為には効果的(どうせなら爆発最後にリングも入れて欲しかったが、考えたらあれは特別編からだから、なくて正解なのかも。個人的にはリングありが好きなんだけど)。ただし、新シリーズ一発めでここまでやってしまうと、『9』がツラくなるんじゃないかと心配してしまうのは、『ファントムメナス』で名曲『運命の戦い』を初めて聴いた時にも同様に感じたところ。
曲と言えば、今回は旧シリーズのキャラが登場するシーン以外の曲は、プリークェル以上に『スターウォーズ』らしくなく、中世の合戦映画のよう。ジョン・ウィリアムスなのになぁ…。
R2が再起動するのは唐突。次作で説明されるのかな?ここまでルークが登場せずに引っ張ったんだから、ファルコンが出発したところでエンディングだろうと思っていたら、いちおう顔を見せたところで締め。ヒゲ面はオビ・ワンを思わせる。
島へ行くまでにファルコンが水面に飛沫を上げるなど、今回は飛んでいるものと地上の絡みが上手い。対地攻撃も含めて。
総論として、オマージュの入れ方は上手いし、特殊効果的には満点だけど、映画館でもう一度見たいか、というと、そうでもない。まだ一昨日見直した『1』のほうが好きなようだ(映画館でも三回見たし)。
最大の問題は人物メインのシーンでカメラが動き過ぎるところにありそう。ちょっと詰め込み過ぎなのかも。映画3作、少なくとも1つ半くらいの展開(オマージュが多いことも一役買っているだろう)が入っている。