思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

スターウォーズ エピソード6』
☆☆☆★

改めて観ると、(『スターウォーズ』はSFか否か論争があるけど)やっぱり『スターウォーズ』はスペース・ファンタジー、あるいはおとぎ話なんだなあと実感。
指輪物語』が徹底的に深さの点で真面目なファンタジー(神話)を構築したのに対して、こちらはメカや宇宙などの幅広さでアメリカ的な神話を作ろうとしたのだ。
特にこの第3作では、ランコア(字幕ではこうだが、台詞ではランカーに聞こえるのが困るんだよなあ)周辺や、イウォークなどがファンタジー寄りの側面で、逆にスーパー・スターデストロイヤーなど、メカ描写も素晴らしい。小中学生で初めて見た時はどちらも気にならなかったのだが、現在の目で観ると、やはりファンタジー要素が引っかかる。
だが、前述のように、あくまでも現代の神話だと考えれば、ファンタジー要素も不可欠なのだと分かる。構造的には、『ロード・オブ・ザ・リング』よりも『ファイブスター物語』と同じ要素で出来ていたのだと気がついた。
イウォークがラストバトルやエンディングで鍵を握るのも、小さいものが大きなものに勝つ、というおとぎ話の王道だからだ。『指輪物語』もまさにそれでしょ?
そういう内容だから、子供向け絵本の体裁で読むと考えればしっくり来るでしょ?

本作は当初(初めて見てから、20年前にLDボックスを買って、エピソード1公開前まで)は3部作で一番好きだったこともあるせいか、特別版の追加要素には、蛇足感が強い。ランカーの飼育鏡の嘆きとか、明らかに公開時に話の流れを止めるからカットされたシーンを復活させたりとかが代表例。
劇伴ファンとしては、名曲と言って過言ではないジャバ宮殿の『ラプティ・ネック』や、エンディングの『イウォーク・セレブレーション』が聴けないのは実に残念。
逆に、何の説明もなくチョイ役的に映っている感じのAウィングやBウィングは、『エピソード4』の特別版に追加しても良かったのでは?それほど資金力のありそうではない反乱軍が次々新型機を開発するよりも、最初から使っていたとするほうが自然でしょ。

改めて通して観ると、『エピソード4』は完成度はまだまだだが、やりたいことをこれでもかとぶち込んだ原石。
『エピソード5』は未完ながら(SF)映画的にはほぼ減点要素がない秀作。
『エピソード6』は、尖ったところとへこんだところが混雑する、良くも悪くもいびつな問題作。


『アナザーカントリー』
どういう映画なのかよくわかなかったのだが…。
イギリス名門校内の代表や寮長などの座を巡る権力闘争と、同性愛に悩む主人公を描いた青春劇ってことでいいのかな??
由緒ある家ならではのプレッシャーとか、小学生的な下級生が大学生の面倒を見るとか(主人公は10年我慢した、と言ってたから、やっぱり小学校からの一環教育的な学校ということか)、日本人にはピンとこないところもあったりするので。軍事教練まであるし。
冒頭と最後に主人公がモスクワで老後を送っているとされるが、結局、大使にはなれなくて、モスクワでスパイ生活を送る羽目になったってこと?

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Happinet(SB)(D) 2010-01-29