思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

松浦信男『人に必要とされる会社をつくる』

この場合の人とは、顧客よりも、社員や周辺住民を指しているのがポイント。震災で全社員を解雇せざるをえなかった著者の経験が大きいと思います。

印象に残ったところ。

「万協製薬では、高くても一流の会社にしか機械の製造も資材の調達も依頼しないし、出された見積り書は一円も値切ることはない。(略)それは、自分たち以外のミスが原因で不良品を出す可能性を、限りなくゼロにするためである。」

「当社では、顧客に対する商品説明やプレゼンテーションは、開発部門が直接行うようにしているのである。たとえ口調は朴訥としていても、商品に関する顧客の疑問に正確に答えられる人のほうがよっぽど親切だし、相手だってありがたいはずだ。」

「既存の顧客のうち、年間売り上げベスト10の会社については、(略)私を含めた経営幹部と各部の部門長が一団となり顧客を年三回訪問する。この際に(略)新製品の提案もするし、サービスについての不満を聞き出し、徹底的に改善するようにしている。」

「高い生産性は組織やシステムで実現すればいいのである。個人に依存したら経営が不安定になってしまう。(略)二流の人材で好業績を上げ続ける当社のシステムは、間違いなく一流だと言っていいだろう。」

「当社では製造ラインの稼働率を30%に抑えている。(略)医薬品業界では欠品は致命傷となりかねないので、急な注文にも対応できるだけのゆとりは、顧客の信頼を得るためにも絶対に必要なのである。」