思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『怪盗グリフィン対ラトウィッジ機関』
☆☆☆

本格ミステリ作家として著名な作者だが、なんと本作はフィリップKディックのパスティーシュ!純粋なSFなのだ。
強いて言えば広義のミステリー、謀略小説。嫌いな言い方なら、冒険小説と言われるジャンルである。
主人公は、怪盗ということで、いちおう過去には盗みもしたと書かれているが、本作内だけで言えば、純粋なスパイ、工作員そのものなのが、看板に偽りありである。
純粋にディック風味のSFとして読むのが吉。
ディックの未発表小説を巡る物語だが、どうせフィクションなんだから、ディックの名前を変えなくても、そのまま出せばいいのに。作中でヒューゴー賞を取った、というフィクション(パラレルワールド?)設定なのに。
考えると、法月、小林泰三山田正紀西澤保彦二階堂黎人とかで、SFミステリーアンソロジーとか出してくれないかなあ…。