思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『世界征服』
☆☆☆☆

前作のほうがスケールが大きく、後に出たほうがスケールが小さいぶん、ディテールが細かくなっている作品としては、『スターメイカー』と『最後にして最初の人類』や、『コズミック』と『ジョーカー』などがあるが、本作も『大日本サムライガール』と相似形にある。
同作はいわば、日本征服ともいうべき作品だからだ。
本作のほうは、典型的なラノベ。天才少女ものでもある。経営、金融、科学なんでも来いで、もちろん超絶美少女である。別にこれが、少年でも(だからこそ私は『魔少年ビーティー』が好きなのかも)、おっさんでも老婆でも、ストーリー上は問題ないはずなのだが…。
そのストーリーは、ダイレクトメール会社の、制度上の抜け穴を利用した飛躍から、金融、バカな大衆を騙してのヒット商品開発、それらの資金は全て、世界征服のためのものに過ぎない。
その手段は、ネタバレ気味に言えば、『沈黙の艦隊』に近いが、さらにSF的なもの。後半のテイストは『プロジェクトぴあの』に近いかも。
デビュー作には作家の全てがあるというが、正しく流水大説大賞に相応しい作品。
しかしこれ、天才少年に少女が恋してくっついて行く話では成立しないのかなあ…(´Д`)それともコバルト文庫的なジャンルではあるのかな?(BLとかであったとして、読みたいかと言われれば、確かに考えてしまうけどなあ…)