思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

進撃の巨人(前編)』
☆☆☆★

評価に困るなあ…。いかにも『映画秘宝』的な(まさしくジスイズ映画秘宝の町山氏が脚本なわけだが)怪作であることは間違いないのだが。
まず、冒頭の幼なじみ三人が草原で現状に不満をぶつけるシーンは演出、音楽、アテレコともにボロボロ。壁際のシーンから始めるべきだったろう。
ちなみに音楽はクレジットによると鷺巣氏や天野正道氏の名前が。たぶんこういう叙情的なところは鷺巣氏で、巨人絡みは天野氏かな?
超巨大巨人はさすがの大迫力。これだけでも(秘宝的)映画史に名を残す。煙を撒き散らすのは『インディペンデンス・デイ』のオマージュかな?
それが引っ込むと普通の巨人が出てくるのだが、これが笑っていいのか、逆に怖いというべきか大いに困るシロモノ。普通の中年のおっちゃんおばちゃんにしか見えないのだ。それがスナック感覚で人間を文字通りつまみ食いするんだからなあ…。良く言ってC級ゾンビ映画である。
二年後、主人公たちが兵隊に入ってからも、よく宇多丸師匠的がいう邦画で痴話喧嘩が頻発する問題で、興ざめだ。そのフード理論的には、国原隼はリンゴを粗末にしたから、隊長役だが、後編で裏切るのは約束されたようなもの。
石原さとみも頑張ってるが、ピエール滝と同じく、ファンタジーものには向いてない配役。
人間ドラマでは、子持ちの女が主人公を誘惑したと思ったら突如出現した巨人に喰われたのがなんかいろいろ含めて良かった。
前編のクライマックスは、ボチボチ『逆襲のシャア』のワイヤーか『スパイダーマン』みたいなのを使いこなすやつが出てきて、それなりに燃える。最後のエレン(どう聞いても女の名前なんだが…)の巨人が肉弾戦を繰り広げるシーンは燃えるのだが、ロングショットでは、裸のおっさんたちがプロレスしているようにしか見えなくもない(それを回避するためか、過剰に血が飛び散るのだが)。
人間が核になっているから弱点だというのは主人公だけが理性を保っていたことと矛盾しないか?ちゃんと説明できるのか?『ガンツ』みたいなガッカリ説明にならなきゃいいけど…(なお、音楽的欲求不満を解消するために同映画のサントラを聴きながら書いてます)。
最後に後編の予告が流れるが、こちらはメチャクチャ期待させる内容(少なくともビジュアル的には損はさせないであろう)。
エンドクレジットは、壁を乗り越えるイメージなのか、なんと下から上に流れて行く。これ、大人数の組織でも一番「上」に組織名がある為、メチャクチャ見づらい。
終わって見れば、低予算ホラー以外で例えるなら、特殊メイクなしの『フランケンシュタイン対地底怪獣』のよう。我々が見たいのは『サンダ対ガイラ』なんだけどなあ…。特殊メイクで演じられている超巨大巨人と主人公巨人が格好良いのだから、誰が見ても明らかだと思うんだけどなあ…。
ま、原作マンガも、ドイツ的な舞台だが、絵が下手なせいか人間も巨人も日本人にしか見えないわけで、だからこそ日本人による日本人のための実写映画にそこまで違和感がないのだが。逆に冒頭の街の雑踏シーンのほうが、舞台が日本人なのか異国なのか脳がパニックを起こして違和感あった。(ここの壁が飛んでくるのは『指輪物語』のオマージュだね)
とりあえず、原作もアニメも見てない身として言わせてもらえば、特撮映画マニア、ホラー映画マニアなら見所は多いが、作品トータルの完成度としてオススメすることは厳しいバカ映画。逆に、マニアが集まって家でビデオ鑑賞会をするなら、これほど(バカ笑い&ツッコミで)楽しめる作品もないのでは?


賭ケグルイ(3)』
☆☆☆☆

ようやく三巻にして面白くなってきた。作者サイドが見せ方を掴んできたのか、たまたま面白いゲームを思いついただけなのか…(この巻まるまるESPカード当てロシアンルーレットゲームである)。
前にも書いたかもしれないが、キャラは、『地獄少女』や『エヴァ』のアスカなど、いろいろところから拝借しているが、まあ「ガンガン」系マンガとしてはそれなりにまとまっているだろう。
逆に、生徒会サイドの悪役の描き方は、某青年マンガっぽいが、もうひとつしっくり来ない。『金魚注意報』がSDキャラを定着させたような、『封神演義』がボケ顔として「>з<」を定着させたような、狂気顔のデフォルメ記号を発明できれば、大ヒット間違いなしなのだろが…。
今回の敵は、その言動だけでなく、動機までぶっ飛んでいるので幕切れ的には微妙だが、ゲーム進行そのものは正統派『カイジ』的で、現実的なプレイだったし。