思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『思想の英雄たち』西部邁
☆☆☆
文藝春秋

あくまでも戦後保守的な立ち位置から、西洋の保守的思想家について語ったもの。
とはいえ、日本的な保守思想とは何か、日本の伝統やその良さについては特に語られていない。

「政治にあって保守的であるとは、バークの託宣を俟つまでもなく、自分が改革派であることに酔い痴れぬことではないのか、自分が守旧派とよばれることを恐れずに伝統の破壊について慎重の態度を持すことではなかったのか。」

「歴史がつねにナショナルな性格を持つことに注目すれば、庶民の集まりがナショナル・ピープルつまり国民である。他方、国民の歴史を背負おうとしないのが単なるピープルつまり人民」

この定義を聞けば、なぜ中国には国民がおらず人民と呼ばれるのかがよく分かるだろう。