思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『検証 邪馬台国論争』関裕二☆☆★
ベスト新書

現在まで続く邪馬台国ブームは松本清張が作ったのだが、研究じたいは江戸時代からされていた。
本書は数々の説の中から、著者が選んだ代表的なところを紹介したもの。
そもそも数が多過ぎるから、すべてを網羅することはできないにしても、もう少し、データ的にでも列挙してくれなかったかなあ、と惜しい気がする。まあ、逆にそうなると研究者向け的に面白くないものになるのかもしれないが…。
とりあえずの結論というか、いわゆる『巍志倭人伝』だけでは邪馬台国の場所は特定できない、ということは前提として共有されているようで、何かしらの補助線的な、研究者の主観を入れる必要がある。
で、著者の補助線はと言えば、他の本を読んだことのある人ならおなじみの、出雲抹殺論を当てはめたもの。それらを読んでいるのでこの評価。だが逆に、一冊も読んだことがなければ、本書の最終2章だけでは納得できないのではないだろうか。(同意するかどうかは別にしても)