思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

綴じ込み小冊子によると「第4の壁」を破ったヒーローとして人気だ、というがウリだそうだが、日本人の我々からすれば、そんなの日本じゃ珍しくもなんともない。やっぱり日本のマンガは世界一ィィィ!と言いたくなる。

確かに、コマ外の書き込みでも、ツッコミ訳の作者キャラがいるわけでもなく、モノローグで読者にボケをかましたり、リアル世界での時事ネタなどを入れてくるのは日本ではあまりないかもしれないが、かくべつ驚くようなことでもない。この路線なら、小冊子でも触れられている(マンガをどこまで忠実にやってるか知らないが)アニメ『銀魂』のほうがよほど凄い。

ま、このへんは、あくまでもギャグを土台にしているか、シリアスなマーベル宇宙か、という違いが大きいのかもしれないが…。でも、シリアス世界であっても、伊藤勢なんかはうまくメタ視点も取り入れてるから、やっぱり日本のほうが上か。

で、肝腎の本作の内容についてだが…。

デッドプールじたいのビジュアルは、スパイダーマン変態仮面を足して、ジャパニーズニンジャ(いわゆるガイジンのイメージする忍者)で味付けしたような感じ。
日本のマンガ・アニメでも、主人公が吸血鬼とかで超人的な能力・回復力を持っている場合は少なくないが、ゾンビというのはあまりないだろう。

パラレルワールドデッドプールが頭部だけになった相棒ヘッドプールは、どこかで見たビジュアルだと思ったら、下唇が出ている感じが、谷岡ヤスジのキャラに近い(^_^;)デッドプールのほうの言動は、『デスノート』の死神リュークに近い気がする。

中盤でいろいろなパラレルワールドに訪れるところでは、フル3DCGから、写実タッチまで、絵柄が完全に変わるのが面白い(けど面白くない)。
それ以外、デッサンや絵柄的には文句の付けようがない完璧さだけど、完璧なデッサンとフルカラーだからと言って面白いわけではないことが分かった(^_^;)
20年以上前の『ウォッチメン』とか『バットマン ダークナイト』に比べれば、コマ割りなんかも完全に違和感なく読めたけどね。
日本マンガでいえば、恩田尚之北爪宏幸衣谷遊なんかに近い。

章ごとに扉絵の絵柄が変わったりしていたり、各所の記述から類推するに、アメコミの発行形式は、日本の雑誌のように複数のマンガが載っているのではなく、日本で言えばフルカラー同人誌みたいな感じで、20ページくらいの単一のマンガの冊子が定期的に発行される(週刊百科シリーズみたいな感じ?)という形式なのかな?

ギャグとしてはそれほど面白いものでもないが、一番面白かったのがトイレットペーパー怪人(正確には触れた物質をコピーできるので、金属に触れば身体が金属になる)を倒す時の「<編集部よりお詫び>トイレットペーパーに関する冗談を削除いたしました」「それはちょっとお下劣すぎるぞ」というやつ。これを向こうの編集部でも日本の編集部でもなく、もし作者自身が原稿に書いてたとしたら、そのセンスは認めるけど(^_^;)。

デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス (ShoPro Books)デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス (ShoPro Books)
ヴィクター・ギシュラー ボン・ダゾ

小学館集英社プロダクション 2013-09-28<