思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『翼を持つ少女』山本弘
☆☆☆★

ビブリオバトルをテーマにしたライトミステリー。主人公がSFマニアの少女ということで『SFが読みたい!2015』でもランクインしていたが、オススメ本を紹介しつつ、ミステリータッチでまとめるという基本的な構成そのものは大崎梢や野上延なんかと同じである。
ライトミステリーとして、いろいろな本の情報が知られてお得な小説だなあ…と思っていたら、終盤にきて山本弘作品にちょいちょいある「と学会」的な説教スタイルになってしまうのが(惜しいというより)残念。
まあ、個人的に自虐史観には反対、というのもあるけど、SF小説万歳のこの作品でそれを入れなくても…と思うのだ。あとがきでSFが広まらないのを嘆いているけど、そういう政治的思想を入れるからですよ、と忠告したい。そんな要素を入れなくても、SF対純文学とかで十分盛り上げられるのに。
そうそう、女主人公の主観パートの文章って、ちょっと小林めぐみっぽいかも…。

「特にSFのような特殊なジャンルの場合、誰にでも理解してもらえるわけじゃありません。自分がなぜその本に興味を持ったのか、どうしてその作家が好きなのかを語らないと、共感してもらえるわけがないんです。」

読みたくなった本
『風評破壊少女ラブキュリ』