思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ガンダムが教えてくれたこと』鈴木博毅
☆☆
日本実業出版社

ま、予想通りの薄味。酷いのが富野ゼリフをビジネス用にもじったもので、こんなの痛すぎるオタクの引かれる言動そのものやん。
作品の読み込みとしても氷川竜介『フィルムとしてのガンダム』のほうが真摯かつ深い。
唯一、ビジネスにおける参考書ガイドとしては役にたった。

ドラッカーの名言「「予期せぬ成功ほど、イノベーションの機会となるものはない。これほどリスクが小さく苦労の少ないイノベーションはない。しかるに予期せぬ成功はほとんど無視される、困ったことには存在さえ否定される」『イノベーション起業家精神』」

気になる参考書
岩本徹三『零戦撃墜王光人社
マーカス・バッキンガム『最高のリーダー・マネージャーがいつも考えているたったひとつのこと』日本経済新聞社


攻殻機動隊2』
☆☆☆★

再読。ようやく読み方が分かって、内容へのとっかかりが見えてきた感じ。とはいえまだまだ理解には遠く、あと何回か読まないと無理っぽい。

本作の特徴は、特にカラーページの圧倒的なビジュアルの情報量やSF的・伝奇的作り込みだけではなく、1コマに通常のマンガの数倍の情報が収まっていることにある。
特に週刊雑誌連載マンガなら1ページくらいかける内容が1コマにあるのだから、そら、読むのも数倍かかるわけだ。逆にいうとそれだけていねいに読まないと理解できない。
もちろんその表現には理由があり、電脳世界において超高速で情報を処理していることがそこから分かる。
ただ、1コマ1コマはじっくり隅々まで舐めるように凝視しつつ、マンガ内の時間は一瞬である、と理解しないといけないのはかなり高度な脳内作業であるといえる。感覚としてはサイバーパンクなどの小説を読むそれに近い。


『本当は怖ろしい日本国憲法長谷川三千子&倉山満

この場合の怖ろしさとは、どっちかというと、関西弁でいう「怖っ」「怖いわホンマ」に近い。ちょっと蔑みの入ったニュアンス。
憲政史家の倉山に長谷川氏が訊く、というスタンスかと思いきや、逆に長谷川氏がどんどんその博学っぷりでリードする展開。
長谷川
ホッブズの理論は(略)ギリシア一口に言えば、「人権」は捨てなければならない権利としてある。そして、それを捨てることを可能にするのが「共通の力」、すなわち「主権」だということです。」

倉山
「民主主義と平和主義が矛盾しないっていう前提がまずおかしいんですよね。多数決で決めれば必ず戦争しないという結論になるというのが論理的におかしい。為政者は戦争を望まないのに、多数の国民が戦争を望んだ歴史などいくらでもあります。」

下のこれは他の本でも読んだが、うまくまとまっていたので。
倉山
リンカーン奴隷解放宣言は、南北戦争終戦のおよそ二年前の1862年です。それから百年経っても黒人に公民権は与えられませんでした。」
長谷川
「つまりリンカーンは、奴隷解放の英雄ではなくて、アメリカ統一を成し遂げた英雄なんだ、ということですね。」