思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『晩餐は「檻」の中で』読了

関田涙
☆☆☆★
東京創元社
講談社ノベルスラノベファン向けではない、いかにも東京創元社らしい作品。
パラレル日本で、仇討ちが公認されているという設定だが、それよりも『インシテミル』などのゲーム的設定といったほうが分かりやすいだろう。
ということで講談社ノベルスのシリーズも好みじゃなかったし、この類の設定も辟易してるのでほとんど期待してなかったのだが、意外と面白かった。
それは東京創元社らしい構造ゆえ。特に最終章のひとつ前、殺人トリックが明かされるところまでだ。ページ数的に言えば270ページまで。そこで終わっていれば、ミステリ的にはなかなか綺麗に決まらない“ ”が見事に炸裂していて、思わず「おぉっと」感嘆していたのに…。最終章を入れたために、トリックが矮小化してしまった。これは作者が主人公に感情移入し過ぎた結果なのかなあ…。
それがなければ☆は確実にひとつは増えていた。