思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

七人の侍

観るのは5回目くらいになるだろうか。見始めると止められない、ということは、やはり面白いということなのだろう。画面的なことは前にも書いているので、今回は脚本的なところから。
脚本的に凄いのは、練り上げられた台詞はもちろん、一本調子ではないツイストの効いた展開、伏線を巧みに回収しながら進む構成にある。
七人の侍を集めるのにも色々なバリエーションがあるし、その侍を集める百姓たちにもお互いの相克などのドラマがしっかりある。
侍が村へやって来たと思ったら村人はおびえて隠れてしまっている、というあたりも意表をつく展開である。百姓と侍のまさに中間的な存在である菊千代というキャラクターの設定も秀逸である。
野武士との戦いでも、単に襲撃を返り討ちにして防ぐだけではなく、実に様々な策を使っている。まず物見を倒し、アジトを奇襲し、小競り合いで何騎か減らし、夜襲を防ぐ。本決戦はあまりにも有名な雨の決戦。戦ひとつとっても長編映画が何本か作れそうだ。
それと相呼応するように、七人の侍たちが何人生き残るか、ということでも視聴者の読みは見事に外れるだろう。中でも平八が真っ先に倒れ、勘兵衛が「苦しい時には重宝な男だと言ったのう…。苦しいのはこれからだ」という名台詞と、久蔵のあっけない最期は特に印象的だ。
完璧ともいえる脚本にあって、勝四郎と志乃の恋と、利吉が女房の事を隠すエピソードは要らないような気もするが、まあこのへんは女性向け、ということだろうか。
「映画観るのが好き」とか言っていながらこの映画を見てない、なんてことはないように。リメイク(?)のアニメ「SAMURAI 7」も出来たことだし、それをきっかけにしてでもいいから、是非観てほしい作品だ。

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三船敏郎 志村喬 稲葉義男

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