思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『エイリアンズVSプレデター2
☆☆★

前作は南極が舞台だったので、ある意味『エイリアン』と同じ、閉鎖環境だった。本作はとある(田舎?)町中で対決する。
特にエイリアンのほうの卵を産みつけて増えて行く人的・物質的被害など、大まかな雰囲気は『ミスト』を連続させる。妊婦に卵を植え付ける極悪さは面白いが、妊娠していない女性との比較・アドバンテージについての意義は疑問。
二つの化け物が戦うのは、ギャレス『ゴジラ』などの感じも。
問題は、メインの対決シーンが夜で、リアル調の画面なので、何が起こっているのか良く分からないこと。エイリアンのほうにドレッドヘアみたいなビラビラがついているので、正面シルエットが紛らわしい。手持ちカメラで、1カットもかなり細かい。まあ、プレデターのほうがまんま人間の動きなので、固定カメラで長く見せるとどっちらけになる、という危惧も分かるが…。
ラストでは、あっさり住人もいっぱい残っているのに町ごと消滅させる。このあたりは(良くも悪くも)ハリウッドらしい。ただし、主人公たちが乗ったヘリコプターは無事。どうせなら彼らも殺したら良かったのに…。ただ、エピローグでは、プレデターの武器を軍のトップが確保した場面があるので、もしかすると、軍に保護されたと見せて、密かに闇に葬られた可能性も…。

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機動戦士ガンダム サンダーボルト デッセンバースカイ』
☆☆☆★

ジオンの不具者を集めたMS狙撃との戦いを描いたもの。まず、傷痍軍人を正面から描いたのが新しい。『08小隊』のラストで一瞬出たくらい。
宇宙世紀だから医学も進歩しているという意味と、最後には逆に、手足がないからこそ、神経を直結して、サイコミュの補助と併せてさらに凄い機動を行える、という逆転が面白い。
MS戦も、姿勢制御バーニアを駆使するなど、ハードSFファンも納得。
白兵戦)死体なども『0083』や『ユニコーン』以上に正面から描いている。ま、額を打ち抜かれた死体をしっかり見せるのと、頭吹っ飛ぶのをシルエット的に見せる(『Vガン』のことね)のと、どちらがショッキングかは比較しづらいが…。
要するに、『MS小隊』の飯田馬之助監督が同作をベースに描いたマンガ『宇宙のイシュタム』に近い。早折されたが、もし存命なら、是非監督して欲しかった。
0080』と似て、連邦サイドとジオンサイドのダブル主人公、つまりどちらが善とか悪と定めていないのだ。
両サイドにそれぞれメイン女性キャラが出てくるが、そのどちらにも感情移入できないのも問題かと。
ストーリー的には、ラストの画面が『0083』の試作三号機とノイエ・ジールそっくりなのも気になった。叫びながら頭部アップのカットバックとかね。
ジャズを使った劇伴は、狙いは分かるし、劇中で実際に流れている音とのシンクロなどの演出も面白いが、好みではない。『カウボーイビバップ』は好きだけど。
そして唯一にして最大の問題はキャラ、メカともにデザインが好きになれないところ。キャラに関しては好みの問題なのでパス。逆に、アニメーターが勝手に描いているであろうモブキャラは良い感じなのだが…。
メカは、ハードSFマンガ家である太田垣氏のテイストが全面に出たアレンジ。全体にカクい、バックパックにマニピュレーターが多数あるデザイン。その原作をアニメ用原案にカトキ氏が手がけているので、多少は緩和されている。が、クリンナップは恐らく別の人なので、隔靴掻痒なのだ。
また、私だけでなくMSVからの古参ファンなら、フルアーマーガンダムが無造作に出てくるのと、何よりもサイコ・ザクが許せないことには賛同してもらえるだろう。あれはR2ではダメ!Z型じゃないと!原作はともかく、アニメスタッフはそのへん分かっているらしく、エピソードのフラッシュフォワードサイコミュ試験型ザク(初の映像化!?)が登場する。もしかしたら、Z型だと売れませよ!と編集に言われたのかもしれないけど、そんなことは知ったこっちゃない。
そもそもが、同人誌的なもの(俺の考えたリアルなガンダム)なのに、アニメ化してしまうと、オフィシャル認定されたと同義になってしまう。そうなると、ガンダム登場時期問題など『MS小隊』以上に問題山積なのが本作。そもそも、こんなのアニメ化するくらいなら『センチネル』やってよ〜(ToT)
ただし、ゆる〜いガンダムファンや、ガンダムとは関係ないリアルロボットアニメとして見れば、良く出来ているのは認める。

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『幽霊の2/3』
ヘレン・マクロイ著/駒月雅子
☆☆☆★

タイトルは、クイズに答えられないと1/3ずつ幽霊になって行き、三回失敗すると死ぬ=ゲームオーバーというなぞなぞ遊びから。
そのゲームをやっている最中に、人気作家が青酸中毒で死亡する。

以外ネタバレあり。

誰がどうやって毒を入れたのか?というハウダニットものかと思いきや、中盤以降はその作家の正体探しとなる。その過程で(読者に)浮かび上がって来る50年代アメリカの出版事情も興味深い。
解説にもあるように、タイトルと、作家の正体などの構造的なトリックは実に鮮やか。毒殺トリックはとってつけたというか、どうでもいいくらい(^_^;)

幽霊の2/3 (創元推理文庫)幽霊の2/3 (創元推理文庫)
ヘレン・マクロイ 駒月雅子

東京創元社 2009-08-30