思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

支那思想と日本』
津田左右吉
☆☆☆★
岩谷新書

なんと昭和14年発行!私が読んだ本のうちでは最古記録である(後の本に出てくる引用としては、日露戦争のものや、GHQ焚書図書開封などがあるが、一冊の本として)。
ちょっと重複が多いかな…。まるで複数のエッセイを集めたみたいだが、そうでもないらしい。

「政治のおしえ道徳のおしえとしての儒教が、権利者や知識人の思想のうえ知識のうえでは、長いあいだ大なる権威をもつていたにかかはらず、その力によつて支那の政治と社会とが少しもよくならず、支那の民衆が少しも幸福にならなかつた、という明かな事実」(仮名遣いと漢字は現代ふうに変更)

「全体に儒教の思想では一般民衆を禽獣と同視し、道徳を以て律すべからざるものとしていたのである(略)。道徳はそのすべてが士大夫の道徳なのである。」
あとは、東洋文化なんてインド、支那、日本と共通する文化はない、ということが繰り返し記されている。