思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『ビザンチウム』 ☆☆☆★吸血鬼もの、という以外に事前知識なしで観た。 英語だが、いかにもヨーロッパ映画っぽいなぁ・・・と思っていたら、イギリス・アイルランド映画だった。 世間的には妹ということにしている娘を養うために、風俗業でなんとか数百年を生…

持続可能な魂の利用

松田青子 ☆☆★ 中央公論新社女性視点のジェンダーSF/ミステリー。完全にいわゆるリベラル/左翼の立場で、右翼の『第四の権力』とは対照的。 右翼としての私の感想は後回しにさて、中立的に評論するなら、中盤までは、色々視点を変えた構成が最近の広義のミ…

血を吸うカメラ

☆☆★久しぶりの町山推薦映画。 前説では、史上初のサイコホラーということだったが、それはフェイクというか、本作の要素の半分に過ぎない。本作は、映画に取り憑かれた男の話でもある。 16ミリが出始めた頃の作品なので、撮影しながら三脚で刺す、というの…

『戦車 その凄さに驚く本』博学こだわり倶楽部編 ☆☆☆☆ 河出夢文庫この手の本は何冊も読んできたし、写真も少ないので今更・・・と思ったが、意外と面白かった。 イラストや写真が少ない分、逆に読み物として、他にない視点での記事が戦車ファンにも楽しめる…

賭ケグルイ(13)

☆☆☆☆じゃんけんポーカー決勝は夢子対めあり。やっぱり前巻を全く覚えてなくて、途中をカットしたのかも分からない(^^;) 何よりも、めありをはじめ、キャラの目が大きくなったことに気を取られる。絵柄的に、ファンタジー(子供向けアニメのよう)なコマが増…

ドラえもん おばあちゃんの思い出

☆☆★原作は読んだことがあるが、映画は観たことがあるかどうか覚えていない。 改めて観ると、「ちょっと違うんだよなぁ……」という点が多々あった。 タイトルに『ドラえもん』が入らないのが驚き。もちろん主題歌もなし。ついでに言えば、エンディングもダメ…

ヤマタイカ(1)

星野之宣 ☆☆☆★ 潮ビジュアル文庫バリバリの劇画。どうも星野之宣の絵柄には、マンガ的な魅力がないんだよなぁ……。 内容がなまじ綿密な取材や参考文献に基づいているだけち、絵柄と合わせて、まるでお勉強マンガを読んでいるよう。全然燃えない(萌えない?…

この世界の片隅に(上)

☆☆☆★映画の原作。特に中盤までは、ほぼ映画と同じと言っていい。 映画の考証がほぼ完璧なので、それよりも、情報量の劣るマンガを読んでも……と思って敬遠していた。 読んでいる途中は確かにそうだったのだが、読み終えるころには、何か不思議な味わいが感じ…

星野之宣 追記

範囲が広すぎて把握しきれなかったのかもしれないが、マンガ作品以外のイラストや、デザインについては完全スルーなのが残念。 真っ先に思い浮かんだ、徳間版『逆襲のシャア』のイラストについて触れて欲しかったのに……。 せめてインタビューでは聞いて欲し…

エンディミオンの覚醒

ダン・シモンズ著/酒井昭伸訳 ☆☆☆☆★ 早川書房初読時にも抜群に面白かったのは保証済みなので、再読したかったのはやまやまだったのだが、なんせ持っている本の中でも最高クラスに分厚い本なので、おいそれと再読できなかった。今回、自炊したのでようやく…

内田和俊『課長は絶対「いい人」になってはいけない!』を読む印象に残ったところ「管理職は『言うこと』が仕事ではありません。できるのうになるまで(言動が改善されるまで)、『言い続けること』が仕事です」「否定語が含まれる指示・命令は避ける (略)…

暗黒の羊

三輪和音 ☆☆☆☆ 創元推理文庫『炎上する羊』☆☆☆★ SNS中毒の妻の暴走をどうやって止めるか。事故映像と倫理の問題など、社会派的な側面も。冴えない中年男と、年下の妻、という関係に共感しやすくなくもない。限りなくホラーサスペンス寄りのミステリー。『暗…

007 スペクター

☆☆★シリーズは『ゴールデン・アイ』くらいしか観た記憶がないので、シリーズの定番ネタとか、近作の伏線回収とかは全然分からない。 それが悪いのかもしれないが、照明やカメラワークはしっかりしているが、やたら派手なだけで、凡庸すぎるストーリー、とい…

王朝の陰謀 闇の四天王と黄金のドラゴン

☆☆☆☆宣伝かどこかで「香港のスピルバーグ」と銘打たれていたが、まさに! という内容。歴史、豪華衣装、武侠、魔法(術)、モンスター、怪獣、恋、陰謀、ミステリー、探偵おなじみの変装と、満漢全席/全部盛りの楽しい映画だ。それを全面にバックアップし…

総特集 星野之宣

☆☆☆★ 河出書房新社まず、最初のロングインタビューの受け答えが、同シリーズの『いしいひさいち』とだいたい同じテイストであることに笑ってしまう。というより、いしいひさいちの凄さをあらためて感じたり(^^;) マンガは3つ。諸星大二郎とのふざけたマン…

サイレントメビウスQD(2)

☆☆★評価で言えば☆☆☆☆と☆☆が行ったり来たりして、非常にもやもやする読書だった。 メンバー一人ひとりの見せ場を作るエピソードを用意するのは、全体のテイストは旧シリーズに近い。やっていることは同じ。なのに、気持ちが盛り上がらないのは、ブレーキをか…

ガルフォース3

☆☆☆☆★久しぶりに再見。通算では5、6回めくらいかな? やっぱり面白い。やっていることは異種属の宇宙戦争。か弱い少女(女しかいない種族という設定と、それを十二分に活かしたプロットが素晴らしい)が戦争を止めるという、『マクロス』みたいな物語。だが…

四十七人の刺客

☆☆☆★今更観る必要もない『忠臣蔵』だけど、市川崑ということで観てみた。 ルックとしての完成度はさすが。どれも望遠レンズなのか、パースの歪みの少ない、スタイリッシュな構図で撮られている。 忠臣蔵としては、史実としてどうとか、定番の歌舞伎的なお約…

ノクターナル・アニマルズ

☆☆☆★アオリ紹介文によれば、有名なデザイナーが仕掛ける心理サスペンスだとか。 とりあえず、ビジュアル的にはさすがで、不満はない。ファッションは洒落てるし、色彩設計、構図も固まってる。 面白いのは、デブの女が裸で踊っているオープニング。ノーパン…

ヒトがいまあるのはウイルスのおかげ!

武村政春 ☆☆☆☆★ さくら舎ちまたでは初めてウイルスなるものを知って右往左往している感もあるので、改めてウイルスとは何か? を勉強。 ……のつもりが、ハードSF/ミステリを読んでいるかのような驚きの結論が待っていた。 ヒトの身体には、細胞よりも細菌の…