思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『リング0 バースデイ』

『リング0 バースデイ』 ☆★『らせん』を除けば3作目ということ、幽霊たる貞子の生前(正体)を描く、という諸々を考え合わせると、どう考えても面白いわけないやろ……と思っていたら、案の定。 当時としてはあまりいなかったロングヘア女優ということで、売…

『アンダーカバー』

『秘録・公安調査庁 アンダーカバー』麻生幾 ☆☆☆☆ 幻冬舎いつもの麻生作品である諜報戦ものと『ゼロの迎撃』と『空母いぶき』を足して3で割ったような感じ。 麻生作品らしさは、日本の危機であるにも関わらず、中間管理職が主人公であること。末端の工作員…

『敗者の告白』

深木章子 ☆☆★ 角川書店いわゆる地の文がないスタイル。手記、メール、供述調書、陳述書、手紙そして新聞記事だけで構成されている。どれも、現実のそれにしては小説的な装飾が多いのは、このて小説のお約束だ。 何より、宮部みゆきに代表されるように、プロ…

『ブラックブック』

☆☆☆☆バーホーベン監督作品という以外にほとんど予備知識なく観たが、面白かった。基本は『アンネの日記』と『シンドラーのリスト』を合わせたようなユダヤ人ものの、重い内容ではある。だが、悲惨な状況ながらもそれに負けない自然な女の強さがベースにある…

『スケルトンライダー』

☆☆始まってすぐ、色調補正がないことだけで、テレビ映画であり、すなわちC級である可能性が極めて高いことが危惧されたが、掃き溜めに鶴、ということもあるので、いちおう最後まで観てもみた。 本作のポイントは「怪物」ボーン・イーター。これが原題でもあ…

『Jホラー、怖さの秘密』

☆☆☆★ メディアックス『劇場霊』に始まった、いわゆるJホラー映画のほとんどを紹介したムック。テレビやビデオシリーズなどもあるので、全作品とまではいかないが、タイトル単位ではほぼ全作品を網羅していて、そこまで詳しくない私としては、概論としてはほ…

『大人の鉄道趣味入門』池口英司 ☆☆☆☆ 交通新聞社いわゆる鉄道オタクの世界を紹介した本とは趣を異にしている。 眼目は、あくまでも定年後世代へ向けた、いわゆる出戻り組への今昔の比較論という側面が強いことだ。 類書にはあまりなかった要素として、鉄道…

『ジェリーフィッシュは凍らない』市川憂人 ☆☆☆★ 東京創元社文庫の帯で興味を引かれたのだが、読み終えてみれば、これはネタバレじゃない?まあ、それを見ていなくても、ある程度以上にミステリを読んでいる人なら、「あぁ、これはあの名作のオマージュだな…

『怪談のテープ起こし』三津田信三 ☆☆★ 集英社ホラー短編集の合間に、作者と編集者のやりとりによる舞台裏の描写を入れて連作っぽくしたもの。 『屍と寝るな』が最もミステリ度が高いが、怖さも最も少なく、総じてあまり怖くない。 結果的に、ホラーファンに…

『13デイズ』 ☆☆☆★キューバ危機についてはその教科書的なこと以外、ほとんど知らないので、勉強のために観てみた。 まずは、編集のテンポがいいので、グイグイ乗せられてしまう。2週間を2時間半にまとめるので、必然的にそうならざるを得ないのかもしれな…

『眼下の敵』 ☆☆☆☆安定感ある画面とテンポで、いきなり引き込まれた。日常(非戦闘時)から戦闘まで、大袈裟に言えば、戦艦のすべてが描かれている。スクリューシャフトらしき部屋なんて初めて見たし、爆雷の深度調節ダイヤルとかも興味深かった。まあ、古典…

『シンクロナイズド・モンスター』

☆☆☆☆まず驚いたのが、(少なくとも登場人物的には)ギャグではなく、シリアスな話である、ということ。てっきり『』みたいなハチャメチャなコメディかと想像していたので。 上京してうまく行きかけたものの、ひょんなことから失敗した結果、酒に溺れたのか、…

『帰ってきたヒトラー』

☆☆☆☆ 『北京原人』みたいな単なるタイムスリップものかと思いきや、ポリティカル・フィクションの佳作だった。 ヒトラーのそっくり俳優を実際に街中でゲリラ撮影し、政治や歴史問題について意見を聞いたり、議論をふっかけたりする。セミドキュメントであるこ…

『プロジェクトA』

☆☆☆★ ジャッキー映画の最高傑作と言われる本作。久しぶりに再見。絶賛評価を聞いたあとなので、期待しすぎたせいか、がっかり感がほぼ全編に漂う感じだった。 手放しで楽しかったのは、中盤、ヒロイン(というには彩りのおまけ程度で、ストーリー本筋には全…

『天竺熱風録(6)』伊藤勢 ☆☆☆☆ 白泉社伝奇ものとしては盛り上がりに欠ける幕引きだった。いちおうラスボスも怪しの物であったが、彼らの出自や背景は語られぬまま。 本作は、アクションものとしては異様に長いエピローグというか、戦いが終結してからもな…

『今さら聞けない!? プラモデル制作Q&A』森慎二 ☆☆☆★ 大日本絵画まず、60年代の自費出版か?というカバーデザインには多いにがっかりさせられる。 100のトピックを1ページずつ解説するもので、いちおう森氏が全文書き下ろしているのだろうが、内容的に…

追記 『絶対必見! SF映画200』 本シリーズのムックの特徴として、紙が分厚くて開きにくいのはなんとかしてほしい( ´Д`)重いし。個人的観たいメモ○『エクストロ』 ○『スピーシーズ ネオ』(『スピーシーズ』とは無関係だったのか) ○『タイムトラベラーズ』

『エイリアン コヴェナント』☆☆☆★続編ではあるが、起こっていること(構成)は前作『プロメテウス』とほぼ同じ。舞台裏を想像するに、『エイリアン』シリーズであることをラストまで隠す意図があったためエイリアンを出せなかった前作と違って、序盤からエイ…

『絶対必見! SF映画200』studio28責任編集 ☆☆☆☆ 洋泉社SF映画のガイドブックだが、その情報量と質が実に濃い。タイトルこそ200となっているが、各ジャンルごとの概論でタイトルだけ紹介されている作品も含めると、その数倍になるだろう。作品別の解説も見開…

『天気の子』☆☆★とにもかくにも、劇中、4、5回もある、歌が流れる度に「もうえーわ! 鬱陶しい!」と叫びたくなった。 評判で聞いていた通り、『君の名は』以前までの新海誠らしい、セカイ系に戻った感じ。ただ、クライマックス前に線路を走るシーンで、周…

『宇宙探偵ノーグレイ』田中啓文 ☆☆☆☆ 河出文庫私立探偵ノーグレイが、銀河連邦内のいろいろな惑星で依頼を解決する短編集。何が凄いって、私が夢想していたネタを(少し毛色は違うが)実現しているのだ。『怪獣惑星キンゴジ』☆☆☆★ 怪獣ランドに飼われている…

『地獄八景』田中啓文 ☆☆☆★ 河出文庫『地獄八景探偵戯』☆☆☆★ 辻真先『デッド・ディテクティブ』の系譜となる、SFミステリ。後出しが多く、本格とは言い難いが、まあ、落語のサゲとして楽しめばいいんじゃないかな。『地獄八景人情戯』☆☆★ 会話だけで構成され…

『アトミック・ブロンド』 ☆☆☆★先に観た『カンサス・シティの爆弾娘』ではないが、一昔前なら『金髪爆弾娘』という邦題になったかも(^_^;) 巷の評判から、もっと『マトリックス』的なアクションかと予想していたが、『SPL』だな。要するに形だけでも様式美…