思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『カムパネルラ』 ☆☆☆★『イリュミナシオン』と同じく、作家SFシリーズと言っても過言ではないだろう。 主人公は宮沢賢治の研究者だった亡き母の遺言に従って、遺骨を散骨するために岩手に向かう。 ふとしたことから、宮沢賢治最期の年にタイムスリップ…? し…

『鬼門の将門』 ☆☆☆★例によって現代(と言っても、何故か舞台は少し前。和歌山カレー事件の直後)で、メイン登場人物はタタルたちではない。そのくせ、安楽椅子探偵的に電話で歴史的事実を教えたりする(辻真先の晩年のスーパーみたい)。 日本の三大怨霊と…

『殺す者と殺される者』 ☆☆☆☆手記もの。冒頭の数々の断り書き(伏線?)からして、日本の真本格ミステリを読み慣れた現代の我々には、トリックじたいは簡単に予想できるだろう。 しかし、本作が巧みなのは、それをバラすタイミングと、文字通りのドンデン返…

『バイオハザード ヴェンデッタ』 ☆☆☆ゲームもミラ・ジョヴォヴィッチの映画もほぼ知らないヴァタシ(¬з¬) 冒頭のホラー調演出は、プロデューサーではあるが、清水崇らしさが出ていて良かった。ホラーから、ゾンビアクションにリレーする演出じたいは正解だろ…

『イップ・マン 葉問』が第2部にあたり、本作が1作めかと思ったが、どうも違うようだ。 ドニー・イェンにとっての『ワンス・アポン・ア・タイム イン・チャイナ』なので、『天地大乱』(第2作)と『天地黎明』(第1作)の関係が脳裏に浮かんだ(香港での…

『2312(下)』 ☆☆☆やっぱり枝葉末節が多すぎる。この下巻で主人公が金星や地球で遭難したりするシーンなんて、メインプロットに何の関係もないのだ。刈り込めば、半分以外のボリュームでも、十分にSF的センス・オブ・ワンダーは描写できる。 ただし、本作の…

『2312(上)』 ☆☆☆★基本プロットは、水星で起こった事故の原因を探るサスペンス。 それに未来世界の人類の生態、テラフォーム、太陽系全域(水星〜土星および小惑星)に及ぶ生活圏、コンピュータそして娯楽などを描いているため、やたは長くなっている。 その中…

『ドローン・オブ・ウォー』 ☆☆☆ 映画の評論とかあらすじで知っていたが、自分で見てみると、それ以上のものがない。 アメリカの砂漠の基地にあるコンテナ(カラオケボックスみたい)から、中東の上空3000メートルにあるドローンを操縦する。パイロットは交…

『転生したらスライムだった件(1)』 ☆☆☆☆看板に偽りあり、というかJAROもん。だって、このタイトルなら、誰でも、転生ものにありがちな、勇者とか魔王とか、いち冒険者ではなく、「アリンコなみの最低最弱になった主人公が、次々に襲い来る、しかしファンタ…

『科学調査宇宙船ミラージュ7探訪記』 ☆☆☆★妙な本だ。タイトル通り、恒星間宇宙船が、様々な惑星を調査する。それだけ聞くと、傑作『ハイウェイ惑星』を思わせるが、なんと本作は一冊に六十のエピソードが詰まっている。裏表紙アオリにはショート・ショート…

『エイリアンズVSプレデター2』 ☆☆★前作は南極が舞台だったので、ある意味『エイリアン』と同じ、閉鎖環境だった。本作はとある(田舎?)町中で対決する。 特にエイリアンのほうの卵を産みつけて増えて行く人的・物質的被害など、大まかな雰囲気は『ミスト』…

とにかく既視感というか、あげれば10前後を超えるように類似作・設定が浮かぶ。 ちょっと珍しいのは、閉じた世界に、外部から中に入っていく、というところくらいか。 ラノベとしては、要するにSFをあまり読んだことのないような中高生には十分楽しめるも…

『アーマーモデリング 2017年6月号』 ☆☆☆☆フィギュア特集。去年も初級〜中級向けの素晴らしい特集があり、また?と思われるが、「また」ではなく「その次」となる初級〜上級編なのだ。 数年前から、これまでずっとイラストでしか説明されなかった、顔の順を…

『アーマーモデリング 2011年1月号』 ☆☆☆★分割付録キットの完結編として、本誌モデラー陣による作例を掲載。どれもテストショットを用いたものだが、高石氏によるもののみ、以前からコツコツ作っていたレジンキット。 吉岡氏のものは、製作ガイドも兼ねたも…

『スケールアヴィエーション』 ☆☆☆☆ガダルカナル航空戦特集。要するに日本の水上機特集だ。考えたら、航空戦なのに、敵機がひとつも出てこないのに今気づいた。 まずは零戦の色である濃緑色の表紙デザインが素晴らしい。 その表紙に使われている田宮32ベース…

『モデルグラフィクス』 ☆☆☆☆☆「ガンプラ塗装の理論と実践」本誌史上でも指折りの名特集。伝説の『センチネル』を通して確立されたそのスキームを、完全公開している。 『配色事典』的な基礎知識から、配色の実例、カラーリング正常化の実践編など。具体的に…

『遺品』 ☆☆裏表紙アオリには「ホラー」とあるが、『霧越邸事件』のようなミステリーとのハイブリッドかと期待して読んでみた。 一人称の主人公の名前が地の文でも、会話中にも出てこない不自然な構成なので、折原一ばりに叙述トリックがあると期待したのに…

『スケールアヴィエーション 2016年5月号』 ☆☆☆☆フランカー特集。表紙はトランペッターの32。トランペッターって、16の4号戦車とか、とにかくデカイものを出してる印象。 それはともかく、バリエーションについては20種類のバリエーションの側面図を二…

『スケールアヴィエーション 2017年3月号』 ☆☆☆☆飛燕特集。タミヤのヨンパチが出たのを機にした特集である。 同誌には珍しく、割と詳細なハウツー記事が7ページに渡って掲載されているのが非常に嬉しい。それも3日で作れる、というもの。しかもコックピッ…

『アーマーモデリング 2012年2月号』 ☆☆☆★戦車模型製作の観点から紹介するツール特集。なんとなく(あからさまに?)手抜きっぽいが、中には「あ、こういうのは知らなかった」という発見があるので、読んで損はない。岡プロが陸自トラックを語る対談、そして『…

『十一番目の志士(下)』 ☆☆☆★一番のドンデン返しは、解説にある。本作の主人公・天道晋助は作者によるフィクションだったのだ。 作中には、幕末の暗殺者である桐野利秋や河上彦斉たちとの顔合わせを始め、実在の人物たちが巧みに配置されているため、晋助の…

『十一番目の志士(上)』天堂晋介なる男の生涯を描いた小説。いったい何者なのか分からぬまま読み進めると、どうやら『人斬り以蔵』などと同じく、幕末に活躍(?)した、ある種の暗殺者らしい。生まれは長州。高杉晋作によって見出された。 長州を出て京へ。そ…

『イラン空軍のF-14トムキャット飛行隊』トム・クーパー&ファルザード・ビショップ著/平田光夫訳 ☆☆☆★90ページほどだが、ムックとしての横書き&小さい文字なので、縦書きハードカバーなら、二百ページ弱にはなりそう。 いくら八十年代とはいえ、写真が荒…