思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『動画王(5)』 ☆☆☆★ムックのタイトルからして、アニメ専門誌かと思いきや、特撮もの特集。 『ゴジラ』そして円谷英二からの日本特撮史を通史的に概観するには格好のテキストとなっている。 中でも圧巻はヤマダ・マサミによる「造型マン紳士録」だ。テレビ…

『セカンドタウン』嶋戸悠祐 ☆☆☆★ 講談社ノベルス島田荘司的本格ミステリーかと思いきや、ミステリSF。 世界観的には、『粘膜兄弟』や、石持浅海的な、パラレル日本。 近未来の日本を描いた真相は、はっきり言って政治的にも科学的にも、リアリティのかけら…

『異星人の郷(上)』マイクル・フリン著/嶋田洋一訳 ☆☆☆★ 創元SF文庫14世紀のドイツの片田舎での、異星人との接触を描く。ファースト・コンタクトものではあるが、何かいわゆる「オチもの」系マンガを見ているようだ。そこに描かれているのは、確かに美少…

『鍋奉行犯科帖』本格ミステリにも落語にも大阪にも日本史にも詳しい作者だからこそ書けた作品。 大坂を舞台に、食い倒れの町らしく食をテーマにした捕物帖。 とは言っても、『噺が違う』のような広義のミステリーという感じ。短篇によっては本格よりのもの…

『小説 仮面ライダー龍騎』井上敏樹 ☆☆☆★ 講談社キャラクター文庫13年くらいからにわかに書き下ろし出版されるようになった平成仮面ライダーの小説版。 今さら感と、『響鬼』の戦犯としても悪名高い井上敏樹だから、いかな『龍騎』ファンのヴァタシと言えど…

斎藤直美『叱り方ハンドブック』「真剣に叱っても、相手は無反応(略)部下が無反応なのは、何か言い分やあなたへの不満など、理由があるのかもしれません。(略)指摘するだけでなく相手の本音にも耳を傾けましょう。」

『オマル』 ☆☆★ 早川書房宣伝などでは『ハイペリオン』を意識した傑作、ということらしいが、似て非なるものだ。 確かに冒険の途中でメンバーが身の上話をする、という構成は同じだが、プロットの説得力と各人の物語の面白さは雲泥の差がある。 そもそも遭難…

『アヴァロン 灰色の貴婦人』押井守 ☆☆☆★単なるノベライズではない。映画版とは似て非なるものだ。 映画版の主人公アッシュは出てくるものの、終盤にガイド役として登場する。小説版の主人公は、傭兵としてアヴァロンをプレイする男。プレイの中で特A(クラ…

『現代思想の遭難者たち 増補版』いしいひさいち ☆☆☆☆再読。 特にメモするようなことはなかったが、気付いたことが。これ、基本的には4コママンガであるにも関わらず、異常に読むのに時間が掛かるのは何故なのか。 吹き出しが活字ではなく、全ていしいひさ…

『下戸は勘定に入れません』西澤保彦 ☆☆☆★連作短編集かと思いきや、一つ一つの短編の結果が次章に直結するタイプの長編。連作短編ともいいづらいし、何て言えばいいのかなあ…。 タイムスリップものだが、それには主人公が誰かと一緒に酒を飲んでいる必要があ…

『ユージニア』恩田陸 ☆☆☆★ 角川文庫宮部みゆき『理由』みたいなインタビューの寄せ集め方式で絵がれた、恩田陸らしい、すっきりしないタイプのミステリー。犯人も中盤に入るあたりで示唆されるので、読者の興味は、動機と、これがミスディレクションとして…

竹内謙礼『小さな会社こそ、高く売りなさい』「小さな会社が、大きい会社に勝つための商品やサービスの手がかりを見つけることができる。「金では買えないもの」「売り手有利」「問題解決」この三点を含んだコンテンツを、まずは探してみることである。」「…

『翼を持つ少女』山本弘 ☆☆☆★ビブリオバトルをテーマにしたライトミステリー。主人公がSFマニアの少女ということで『SFが読みたい!2015』でもランクインしていたが、オススメ本を紹介しつつ、ミステリータッチでまとめるという基本的な構成そのものは大崎梢…

クエーサーと混同しそうになるが、別物。とはいえ、ガンマ線バーストは現象の名前にすぎないので、その正体が何か、というのが観測の主題となる。まるで刺殺死体を見て、どんな刃物で殺されたかを捜査するミステリーのようだ。最新の研究では、ガンマ線バー…

『レッドスーツ』ジョン・スコルジー著/内田昌之訳 ☆☆☆☆ 早川書房原題は『redshirts』で、直訳なら『赤シャツ』になるか。 モチーフは私が見ていた『スター・トレック ネクストジェネレーション』ではなく、『宇宙大作戦』のほうなので、ちょっと「?」もあ…