思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『ケース・オフィサー(下)』麻生幾 ☆☆☆★ 幻冬舎文庫もちろん本作の執筆にも膨大な取材がなされているのだろうが(日本のトム・クランシーと言っても過言ではないだろう)、どうも小説としての修飾が凡庸な感じがした。 楡周平の「朝倉恭介」シリーズにもこ…

『ドル凋落 アメリカは破産するのか』三橋貴明 ☆☆☆☆ 宝島社新書「グローバリズムの擁護者として名高い経済学者、ジャグディシュ・バグワティ教授(略)でさえ(略)「貿易の自由化と金融の自由化との間には、一線を引くべきである」(略)「自由な資本移動が…

『折れた竜骨』米澤穂信 ☆☆☆☆ 早川書房魔法の存在する世界で起こった領主にして主人公の父親殺しの謎を書いたミステリー。 あとがきによると、本作はもともとデビュー前にネットに書かれていたもので、当時はハイ・ファンタジー、つまり完全に架空の創造世界…

『となりの車線はなぜスイスイ進むのか』トム・ヴァンダービルト著/酒井泰介訳 ☆☆☆★ 早川書房 原題は『TRAFIC Why We Drive the Way We Do』で、例によって副題のほうが原題に近い、売るための(詐欺的?)邦題になっている。中身は、ちょっとくどいし、冗…

『司馬史観と太平洋戦争』潮匡人 ☆☆☆☆ PHP新書 まずは、戦後GHQによって使われるようになった「太平洋戦争」という言葉の定義が不明である、というのが面白い。戦前使われていた「大東亜戦争」を使用禁止にしたいがために無理矢理押しつけたものだから、…

『外事警察』麻生幾 ☆☆☆☆ NHK出版911後の日本の対テロ事情を、タイトル通り、外事警察を主人公に描いたもの。 何よりも、書かれている何倍もの取材がなされていることがひしひしと感じられるリアリティが凄い。厚めのハードカバーとはいえ、それにしては膨大…

『コズミック・ゼロ』清涼院流水 ☆ いちおう今まで読んでみようとは思ったりしたものの、確実に面白くないだろうからパスしていたもの。 まさに時期を逸したとしか言いようがない(せめて『秘密屋』あたりか、遅くても『彩紋家事件』の時期に出すべきだった…

『百人斬り裁判から南京へ』稲田朋美 ☆☆☆☆ 文春新書 未来の総理大臣・朋美姫がなぜ政治家になろうと思ったか、いわゆる百人斬り裁判の経緯をノンフィクション風に書いたもの。 やや不謹慎かもしれないが、法廷サスペンスとしても読めるだろう。 その結論は、…