思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『科学で見なおす 体にいい水・おいしい水』岡崎稔+鈴木宏
☆☆☆★
技報堂出版

「水を電気分解すると(略)プラス電極側に塩素や炭酸などのマイナスイオン(引用者注:陰イオン)が引き寄せられ、マイナスの電極側には、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなどのプラスイオン(引用者注:陽イオン)が集まり、それぞれ異なった性質の水ができる。その大きな違いは酸性度で、プラス側の水は酸性、マイナス側はアルカリ性

「人間の体液は弱アルカリ性に保たれているが、これは体内に備わったコントロール機能が働いているためで、飲み水によって左右されることはない。」

アルカリイオン水は(略)調理に使った場合は、お茶や野菜の色を鮮やかにしたり、煮物が柔らかくなるなどの効果があるようだ。」

「水の中にはさまざまな蒸発残留物(ミネラル)が含まれているが、その代表的なものがカルシウムとマグネシウム。その2つの合計含有量を示したものが硬度」

「「六甲のおいしい水」の硬度は約84(略)ヨーロッパなどの地下水は硬水のため、ほとんどが硬度200以上で、なかには1000を超えるものもある。」

「成人の1日のカルシウム必要量は、600ミリグラム程度とされているので、国内産のものを飲んでミネラルを補給するとなると、1日に20リットルも飲まなければならない計算になる。」

「硬度の低いミネラルウォーターの方がおいしく感じられる。一般に硬度が高くなれば、苦味や渋みを感じるようになり」

「メーカーは元売りから脱塩水を買い、それを原料にして深層水商品を製造している。(略)塩分だけを除いただけなので硬度が5500から6500という超硬水で、(略)淡水を20倍以上加えて、一般のミネラルウォーター並みの飲みやすい硬度に調整している。(略)含まれるミネラル成分から見ると、海洋深層水はナトリウムやマグネシウムを多く含む以外は、ミネラルウォーターと大きな差はないが(略)ミネラルバランスは良いとはいえない。」

浄水器に比べて処理プロセスが多いので除去範囲が広く除去率も高いため、細菌やウイルス、トリハロメタン、農薬、硝酸性窒素、鉛や重金属など、問題となる物質のほとんどが除去できる。(略)家庭用浄水器は除去範囲や能力に限界があり、その点おいしい水自販機の水は安全性の面では信頼できると見てよい。」

機動模型超級技術指南

林哲平
☆☆☆★
ホビージャパン

季刊誌(?)『ガンダムフォワード』の連載をまとめたもの。通常の雑誌作例の制限をとっぱらった作り込み、というふれこみだが、毎号載っているので、締め切りとかがなく、作り込んだ作品が完成したら掲載している不定期コーナー、『モデルグラフィックス』の「ヒストリーメーカー」なんかよりは一段落ちることは否めない。
ハウツーとしての途中写真も多いのだが、密度が高い反面、写真サイズが小さいのが不満だったのに、この単行本でも雑誌そのままなのが非常に残念。再構成して写真は大きくして欲しかった。
単行本用の作り起こしとして、ネオ・ジオングを永野メカ風に改造した作品が載っている。たしかにサイズからくる工作量は凄いのだが、他の作品と並べても、私的には林氏のデザインセンスが好きではないのだとつくづく感じた。
本書中でも、小田雅弘作品を完コピした06Rや、カトキデザインのMSを(良い意味で)寄せ集めた「パーフェクト・ユニコーンガンダム」、そして文字通りカトキデザインの真骨頂、リファインE x−Sをスケールを超えてミキシングしたものに関しては文句なく絶賛モードなのだが、それ以外の作品については、全然食指が動かない(^^;)

地球温暖化のファクトフルネス

杉山大
☆☆☆★

地球温暖化に対する反証、というより、地球温暖化じたいがフェイク(こうは書いていないが、白人たちによる21世紀の世界支配戦略)であることを、データを列挙して示したもの。
本書を見れば、マスコミで無条件的に前提として言われることの、ほとんどがウソであることがわかる。唯一、疑問として挙げられておらず、当然、データもなかったのが、集中豪雨が増えているのでないか? ということ。とは言え、本書の流れからすると、温暖化というより、都市化や、支那大陸の自然破壊などによるものなのかもしれない。

ランボー

☆☆☆

小学、中学時代にテレビで観たような気もするし、観てないような気もする。今回、改めてささきいさお吹き替え版を視聴。
ながら見をしてたので、より顕著だったのだが、ランボー、極端にセリフが少ない。ほとんどうなり声ばかり(^^;)
内容は『スマホを落としただけなのに』ならぬ、『食堂を探していただけなのに』というもの(^^;)
不審者としと警察に捕まり、生来の無口と、ベトナム戦争PTSDで警官への反発だけにとどまらず、横暴な警官たちをぶちのめしたことで、おたがい殺し合うことに。どっちもどっちである(^^;)
森に逃げ込んだ後は、ひとりで『コマンドー』と『プレデター』を一緒にやってる状態。どっちが先かわからないが、完全にシュワちゃん超えやね。

ヤマタイカ(3)

☆☆☆★

内容はすごいんだけど、絵柄としてはちとダサいのが惜しいよなぁ……。直接には背景の絵そのもので見せる、文字通り世界観じたいを構築するタイプの作家、とでも言えるだろうか。連載は88年とかなので、時代的にしょうがないのかもしれないが。
大仏が動き出すのは、凄いんだけど、どうにもバカみたいに見える。構図の問題なのかなぁ……。
大和VSミズーリは、『沈黙の艦隊』に負けないくらいの迫力がある。『宇宙戦艦ヤマト』と全く同じ意味で、ヤマトが日本の象徴である、というあたりは、どうしても共感せざるを得ない。かわぐちかいじも本作からインスパイアされて『沈黙の艦隊』を書いたのかも。
伊勢参り現象や、ええじゃないかなど、天変地異の前後に日本全土で集団躁状態が発生し、それが60年周期で、その現代版が大東亜戦争である、というのはちょっと信じられないが。最後まで読めば納得できるのか?

名画小説

深水黎一郎
☆☆☆★
河出書房新社

芸術探偵シリーズではあるが、ミステリ様相はほぼなく、倉坂鬼一郎なら『田舎の事件』、作者の作品なら『午前3時のサヨナラ・ゲーム』などのナンセンス・ホラーに近い。ショート・ショート集。てっきりどこかの連載だと思ったら、書き下ろしだった。

ヤマタイカ(4)

☆☆☆☆

時に交信しつつ、リアルタイムに神子に援護射撃を与えていた卑弥呼が、死ぬ、というのはミステリーではちょくちょくあるミスディレクションだが、ハードSF派の私からすると、ギャグにしか見えないけどなぁ(^^;)新開誠版『君の名は』とかね。
神子たちの超巨大銅鐸・オモイカネに対して、広目は鉄を用いて黒い超巨大銅鐸・オモイクロガネを作る。これ、由緒正しき子供向けヒーローものの悪者の所業だよなぁ。ブラック銅鐸って。
それが空中で激突するのだが、そうなると、とんでもなく大音量の重低音の振動波で周囲の物が破壊されたり、人体も問題が起きそうなのだが、そのへんは一切触れられていない。星野之宣はSFのひとなのに、考えが及ばなかったのだろうか? 思考が伝奇(ファンタジー)モードになっていたのか?
大和の進路が、小笠原南部から東京に北上するとか、大和に神子たちが乗り込んで、テレビカメラに映ったことで攻撃できなくなるとか、まんま『沈黙の艦隊』である。このへんまで来ると、完全に元ネタと言っても過言ではあるまい。
日本各地の火山が噴火するビジュアルは樋口版『日本沈没』だが、このへんはだれが作っても帰結する状況だと思う。
肝心の、日本国民が踊り狂う、ということに対する説得性は本巻を読み終えた時点ではまだない(^^;)
作者もそのへんは折り込み済みなのか、情熱的な縄文系に対して、冷静な弥生(大陸・渡来)系の日本人という対立軸を用意していた。