思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

エクス・マキナ
☆☆☆★
予告などから、もっと面白いかと思ったら、それほどでもなかった。
人工知能というテーマなので、哲学的、つまり機械とは? 人間とは? 生命とは? 知性とは? という命題について考えさせられる話だと思ったのに、そうではなかった。
要するに、人間みたいに見えるエイリアン/モンスターをテーマにしたサスペンス/ホラーなのだ。『2001年』とか『デモン・シード』に共通するテーマかつ同様の秀作になり得る設定なのに、要するに『宇宙人王さんとの対話』みたいなB級映画になってしまった。
検索エンジンをベースにして人工知能を作る、という設定も秀逸なのに……。そもそもグーグル的な会社のカリスマ社長にしては、あんなアイスランドみたいなところでどうやって仕事してるんだ??
叙情的なテイストにするにしても、小説『バーチャル・ガール』的な恋愛映画にしたらいいのに、それほどでもない。
アンドロイドの造形も、グリーンの服を着て、そこだけCGに置き換えたんだなぁ…というメイキングが容易に推測できるお手軽な作り。そもそもスケスケってのがリアリティがない。ターミネーターみたいにみっしり詰まってないと。
ロボットの裸、という名目でヌードが見えるのは良いけど(^_^;)このぼかしは、劇場版でもあったのかなぁ…?
押井守作品なんかでわかりやすいが、低予算映画ほど、状況描写で尺を稼ぐ、というのがある。本作でも、あまり意味なく自然風景カットが何回も入る。諸々カットすれば、40分くらいにまとまると思うし、その方がテンポよく、展開の動きもよくわかって良いのじゃないかなぁ…。
ラストで、スルスルと包丁が入っていく描写は逆にリアルで良かった。ロボットだから躊躇がないのとパワーがある、という意味での説得力もあったし。

ザ・モモタロウ(3)』
☆☆☆☆
ストーリーは色々な展開があり、結構シリアスなのにギャグも満載で、実に盛りだくさん。味読すると、結構時間がかかるのだ。24話後半、弁慶風車のページの右下コマに、それを見たバーバリアンが驚いているのを初めて発見した。もう20回近く読んでるのに(^_^;)かように1コマの密度が濃いのだ。
その最たるものが、31話の2ページめ左上コマ。宣言、投球、打撃、打球直撃という、4コマ以上でもおかしくない情報量が1コマに収まっている。しかもそれが笑いのテンポとスピード感を生んでいる。
作品論として、本作ではモモタロウや牛バカを始めとする各キャラが七変化以上に、ギャグ(ボケ)を最大限に活かせる容姿に一瞬にしてコスプレすること。これは実写化不可能な、まさにマンガならではの表現。

ザ・モモタロウ(2)』
☆☆☆☆
作者の絵は上手くない。現在に至るも全然成長しないという珍しい漫画家だ(^_^;)
でも、本作では下手さが殆ど気にならない。それは、SDキャラはもちろん、リアルキャラも、線の運び方も含めたキャラのデザイン的な処理が巧いためだ。線そのものは、多少ペンさばきが崩れている(時間がないから?)場合もあるが、基本デザインがしっかりしているので、そこまで気にならない。
もうひとつ、特筆すべきは「もんがー」の存在だ。リアルとSDの間を自由自在に往来しつつコスプレ変身し、なおかつもんがーという第3形態がある(一見、SDよりさらに砕けた形態に見えるのだが、本巻の作者コメントによると、中間形態らしい)。たぶん本作のほうが『金魚注意報』より先んじていると思うのだが、そのオリジナリティと先進性はもっと評価されて良いのではないだろうか?

『デモン・シード』
☆☆☆★

原作の持つ背徳感はそれなりに表現されているが、ラストの「一線を踏み越えた感じ」は、子供向け特撮みたいになってしまっているのが残念。
40年前の作品なので、現在の目で見れば、特撮技術的には拙いが、頑張っているのは分かる。CGっぽいが、オプチカル処理/合成を用いたサイケ映像もそうだが、コンピータの肉体となる多面体の表現に注目。ルービック・マジックみたいに展開するのはまだ分かるとして、壊された時にピクセル分解よろしく、正三角錘にバラバラになるというのはいま見ても斬新かつ格好いい。
ラストに、機械生命体の正体を見せる際、がっかり造形とみせかけて……というどんでん返しは巧い。
チラリとおっぱいを見せてくれたり、ある程度は
サービスカットはあるが、本作の肝である受胎シーンは、もっと執拗かつエロく描かないと。それが足りないから、機械と人間の融合(セックス)という異常さ、背徳感が出ないんじゃないかなぁ……。
テーマ的には『2001年』と通じるものもあり、しかしカルト映画になりそこねた、(残念というより)惜しい作品。

ザ・モモタロウ(1)』
☆☆☆☆
久し振りに再読。やっぱり面白いわ。
なんといっても若さ故のパワーが凄い。いちおうストーリーマンガでもあるのに、ギャグが1ページに1つどころか、3つも4つもぶちこまれているのだ。
以前にも書いたが、ギャグ(ボケ)が、ストーリーに繋がっている。つまり、コケたらコケた状態で次の(真面目な?)展開に続くというのが斬新。

追記
レクリエイターズ(4)』
回想シーンとしてファンタジー世界バトルがあるが、そちらの描写はイマイチ。リアリティが足りないのは、アニメ設定をトレースした為か、作者にそちらのデザインセンスがないからか……( ´Д`)
真がねの三つ編みとか見ると、実はそこまでの画力はないような気もするが……。

島本和彦本』
☆☆☆★

少し前は『熱血時代』を始め、島本先生のムックがいろいろ出ていたので、出版当時は「今さら……」という感じだったが、改めて読むと、類似書との重複を避けて作られている。
ロングインタビューも面白いが、中でもラジオ『マンガチックに行こう!』の文字起こしが2回ぶんも収録されていること。
同人誌購入を見送った(『炎の転校生』を内容そのまま絵だけ描き直したものだとおもったんだもん……(^_^;))『必殺の転校生』が面白かった。まあ、文字ばかりで数少ないマンガだから、って要因は大きいけど。
20年前くらいの文庫で読んだけど、『炎の転校生』の面白さは分からないんだよなぁ……(^_^;)


レクリエイターズ(4)』
☆☆☆☆
いよいよ『デスノート』っぽくなってきたなぁ……。これは良い意味で。
嘘も含めて会話の応酬で繰り広げられられる物語になってきたのだ。もちろん、絵が巧いことも共通している。主人公も、単なる巻き込まれ型ではなく、トラウマか元凶らしい。『仮面ライダー龍騎 劇場版エピソードファイナル』みたいで、期待したい。